ドナルド・トランプ政権が進めている「関税交渉」の米国側責任者であるスコット・ベッセント財務長官が29日(現地時間)、韓国政府が米国との交渉結果を選挙に活用するため、「貿易交渉の枠組み(framework)」を持つことを望んでおり、「より切実に(keen)対話に乗り出そうとしている」と述べた。韓国政府は「そのような事実はない」と否定したが、ベッセント長官の言う「貿易交渉の枠組み」はチェ・サンモク副首相兼企画財政部長官が最近言及した「7月パッケージ」など、今後の「交渉計画」を意味するものとみられる。ハン・ドクス大統領権限代行が「大統領選出馬」のため、交渉を急ぎ、次期政権の活動の幅を狭め、やがて国益を大きく損ねる結果を招くのではないかと懸念される。
ベッセント長官はトランプ政権発足から100日を迎え、ホワイトハウスで開かれた記者会見で、「選挙日程のために韓国などとはやく交渉結果を出せないのでは」という質問に、「むしろその逆だ。これらの政府は、選挙前に米国と成功裏に交渉したことを示すために、米国と貿易交渉の枠組み(framework)を持つことを望んでいる。交渉のテーブルにもっと積極的に出て仕事を終えた後、これをもとに選挙運動を展開したいと思っている」と答えた。
発言が公開された後、政府は「『大統領選挙前に米国と交渉の枠組みを終え、その後、選挙運動を展開することを望んでいる』という意思を伝えたり議論したことはない」と述べた。ベッセント長官の発言が米国にも大きな悩みの種である関税交渉が急ピッチで進んでいることを示すための「米国内政治用」である可能性もある。しかし、米国と交渉を準備している多くの国家の中で、韓国が真っ先に米国が提示した交渉の枠組みを受け入れたのは事実だ。まだ速断するのは早いが、性急な「相互関税」の賦課で窮地に追い込まれた米国の状況を積極的に活用し、日本など周辺国と歩調を合わせた方が韓国にとって有利だったかもしれない。ベッセント長官は28日、CNBCとのインタビューで、「我々には標準化された形(template)がある」とし、交渉の進捗が最も早い国としてインドと韓国を挙げた。
公正な選挙管理に務めるべき大統領権限代行が、大統領選出馬の準備と韓米関税交渉を同時に進めた時から、このようなことは予見されていた。ハン代行は29日「最後の」国務会議で、「代表団は今後の協議の基本枠組みに対する原則的合意を引き出し、この間の不確実性を相当部分解消した」と自画自賛した。このままでは次期政権が発足しても、米国が主導する「標準化された模型」の枠組みの中で、いくつかの数値を改善する消極的役割に留まることを余儀なくされるかもしれない。
2025/04/30 19:56
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