韓国民主主義の危機が中国の一党独裁を強化する【寄稿】

投稿者: | 2025年5月28日

 韓国では8年ぶりに大統領が罷免され、3年ぶりに大統領選が行われる。内乱終息、体制戦争、世代交代など各党の有力候補が叫ぶ壮大なスローガンは陳腐で空虚だ。任期5年の大統領制国家で拙速な飛び石大統領選を行う国がほかにあるだろうか。憲政の正常軌道から国が逸脱したのは誰の責任か。 風車に飛び込んだドン・キホーテのように反国家勢力を撲滅すると言い、荒唐無稽な戒厳令を敷いた大統領一人の責任なのか。数十件の違憲的な官僚弾劾でも物足りず、大統領権限代行の権限代行まで弾劾すると言い、議会を暴走させ続けた巨大野党の責任なのか。

 政界で生死に関わる重大の決断の責任は十中八九双方にある。国家非常事態を共につくり上げた「怪物」のような両党が、互いに再び大統領の座をつかもうと必死な状況は奇妙だ。まるで三流作家が手抜きをして書いた政治ドラマのようだ。世界12位の経済大国、5位の軍事強国、韓流ブームを生んだ文化強国がなぜこんな無益な政治闘争に国力と時間を浪費しているのか。人の過ちよりも法の誤りを問題視する政治学者は、口を開けば改憲を叫ぶが、憲法を改正して制度を巧妙に組み直したところで、政界の旧態と悪習が一掃されるはずはない。

 毎回こんな事態が起きるのは、憲法そのものが間違っているからではなく、憲法を誤読して悪用する政治商人と利権がのさばっているからだ。国の主権者として国民の重大義務は、大切な参政権を慎重に行使し、古い勢力を政界から締め出すことだ。彼らが口にする自己弁明にだまされ、彼らが吐き出すポピュリズムに惑わされるならば、国民主権を実現する選挙民主主義の大義が崩れる。

 世界が韓国の選択に注目している。東アジアでは韓国、日本、台湾だけが自由な選挙民主主義を実現してきたが、日本は敗戦後、米軍政の支配下で自由民主主義を移植されたケースであり、台湾は自ら民主化を成し遂げたにもかかわらず、国家の地位を承認されていない状態だ。韓国だけが国民の自発的な政治参加で民主化を成し遂げ、平和的な政権交代に成功した自他共に認める自由で民主的な独立国家だ。そんな見かけによらず、韓国の民主主義が慢性病を患ってきたことも否定できない。

 1987年以来、大統領選のたびに、有権者はどこでまた突発的な不確定要素が生じるか分からず、最後まで気をもまなければならなかった。3党合党、DJP連合、大統領選前日の一本化決裂など奇想天外な戦術と予測不可能な権謀術数が絶えなかった。500万票差で勝った「実用」政権(李明博=イ・ミョンバク=政権)は、就任100日目に狂牛病騒動でグロッキー状態に追い込まれ、51.6%の得票で権力の座に就いた最初の女性大統領(朴槿恵=パク・クンヘ=氏)は、群衆デモで惨めに追い出され、20年の長期政権を豪語し、積弊清算の刃を振り回したろうそく政権(文在寅=ムン・ジェイン=政権)は、失政を繰り返し、政権維持に失敗した。

2025/05/28 07:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/05/26/2025052680008.html

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