【社説】韓国、新政権発足1カ月…随所に外交・安全保障の試験台

投稿者: | 2025年7月6日

李在明(イ・ジェミョン)政権発足から1カ月が過ぎ、韓国国内的には昨年12月3日の非常戒厳と弾劾事態の後遺症を速やかに収拾する様相だ。韓国ギャラップがきのう発表した李大統領の国政支持率が65%に上るほどに巡航中だ。

だが国の外を見れば激しい波は相変わらずだ。覇権競争が激しい米国と中国の双方から多様な圧力と変数が生じている。理念と価値より国益を最優先にするという新政権の実用外交が出発段階から試験台にのせられた様相だ。

 最も大きなリスクは韓米関係だ。同盟と友邦さえ取引対象と考える第2次トランプ政権となり韓米同盟は相次いで試されている。米当局者が在韓米軍の戦略的柔軟性に言及してきただけに近く縮小や再配置要求が出される可能性がある。8日の期限が近付く関税交渉が差し迫った状況で現在国内総生産(GDP)の2.3%水準である国防費を5%まで引き上げという米国の圧力は新政権に大きな負担要因だ。

こうした難題を解決するためには韓米首脳会談が早く開かれなければならないが、会う約束はない。主要7カ国(G7)首脳会議と北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で韓米首脳会合が実現せず、8日に予定されたルビオ米国務長官の訪韓まで突然取り消された。米日関税交渉が思い通りにうまく解決しないためトランプ大統領が「日本は甘やかされている」と不快感を示した直後に予定されていた訪日を突然取り消し、韓国にも火の粉が降りかかったとみられる。ルビオ長官が訪韓すれば韓米首脳会談の早期開催日程と議題調整が可能だったはずだがとても残念だ。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領は就任から11日で首脳会談が行われたが、李大統領の訪米と首脳会談は期待より遅れている。遅くとも8月中には首脳会談が実現するよう多様なチャンネルを積極的に稼動する必要がある。米国発の関税戦争はそうでなくても厳しい韓国経済をさらに悪化させかねない問題で、突破口が切実だ。相互関税追加猶予交渉などに向け週末に米国へ向かう呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長の肩は重い。

中国の変数も新政権の苦心を深めさせている。尹錫悦政権時代に北朝鮮・中国・ロシアとの対立を形成したとすれば李在明政権は関係改善を摸索中だ。こうした中、習近平国家主席が9月3日に北京の天安門広場で開かれる抗日戦勝記念日行事に李大統領を招待し新政権の悩みが深まった。2015年に当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領が天安門の城楼に上がり批判された前例がある上に、米国が新政権の親中性向を注視しているタイミングであるためだ。国家安全保障室を中心にこの問題を高度に敏感に取り扱わなければならないだろう。

新政権は発足直後から対北朝鮮拡声器放送中断など北朝鮮に相次いで融和措置を決断したが、北朝鮮が今後どれだけ呼応するかは未知数だ。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が「交戦中にある敵対的な両国関係」を宣言し南北対話は容易でない状況だ。北朝鮮はロシアに追加派兵を推進して核・ミサイルだけでなく在来式軍事力増強に拍車をかけているだけに、南北関係は速度調節し危機管理に集中することが上策だ。

李大統領は一昨日の記者会見で、国交正常化60周年を迎えた韓日関係を取り上げ、「右手でけんかしても左手は握り合う」として柔軟なアプローチを強調した。「政治と外交から徹底的に感情を排除しなければならない」という話もした。韓米同盟をしっかり確かめる一方韓米日協力を強化し、朝中ロとの関係復元の機会を注意深く企てることを望む。こうした基調で新政権の前に置かれた外交・安全保障の障害物をひとつずつ乗り越えなくてはならないだろう。

2025/07/06 11:04
https://japanese.joins.com/JArticle/335891

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