製造業危機、関税交渉、労働改革…韓国新大統領の課題、容易なものはない

投稿者: | 2025年6月4日

「不況の影」は大統領選挙日も例外ではなかった。全羅南道麗水(チョンラナムド・ヨス)国家産業団地は3日もあちこちに遊休敷地が目に付いた。過去に設備増設に備えていたが放置した状態だ。ここを代表する石油化学産業は中国製低価格製品の攻勢で危機に追いやられて久しい。産業団地で働く管理職のチョさんは「大企業がまだ酸素呼吸器をはずさず持ち堪えているがいつつぶれてもおかしくない」と打ち明けた。4日に就任する第21代大統領が向き合うことになる製造業危機の現実だ。

実際に新政権は大統領当選の喜びにひたるひまもなく経済危機対応から乗り出さなくてはならない見通しだ。韓国銀行が今年の経済成長率を0.8%と予想するほど景気が冷え込んでいる。中では家計負債が危険水位に至り、外では米トランプ政権との関税交渉の最中だ。李在明(イ・ジェミョン)・金文洙(キム・ムンス)両候補が選挙戦終盤まで「当選すれば非常経済状況から取りまとめる」と公約した理由だ。

 韓国経済の大黒柱である製造業から警告ランプが灯った。半導体、自動車、石油化学、鉄鋼、造船、二次電池など、これまで韓国の製造業を牽引してきた業種の世界シェアはほとんどが下落傾向だ。主力産業の墜落を防ぐ産業政策を用意しなければならない。大韓商工会議所のカン・ソック調査本部長は「伝統製造業の船首を人工知能(AI)のような未来産業に向けるには先端技術製造業分野に規制緩和だけでなく補助金、税額控除、低利貸付まで、できる支援をすべてしなければならない。商品中心の既存の輸出構造をサービスまで含めた輸出にアップグレードし新たな成長動力としなければならない」と強調した。

産業構造調整も当面の課題だ。産業構造が大きく軽工業から重工業、ITへと流れる過程で主力産業がこの10年以上停滞した。価格競争力で勝負できない産業は構造調整から早く進めなければならないという指摘が出る。漢城(ハンソン)大学経済学科のキム・サンボン教授は「企業の自律に任せず政府主導で限界企業から清算しなければならない『臨界点』に至った。交通整理を通じて革新的で付加価値の高い産業に資源を集中しなければならない」と話した。

トランプ政権との関税交渉も足下の火だ。相互関税猶予期間が終わる7月8日まで1カ月ほど残った。弾劾政局で個別に対応してきた財界は新政権次元の本格的な対米交渉を期待している。韓国貿易協会国際貿易通商研究院のチャン・サンシク院長は「欧州と日本などの事例を綿密に分析し、造船・防衛産業など韓国に強みがある分野を基に対応論理を用意しなければならない。選手(大統領)が変わったのでひとつひとつ事実関係から問い正すという姿勢も必要だ」と助言した。

労働改革は先送りすることはできない課題に浮上した。今回の大統領選挙でも高齢化にともなう雇用不足問題で定年延長問題が話題だった。正規職と非正規職、大企業と中小企業など二元化された労働市場の二重構造問題も危険水位だ。週最大52時間勤務規制は国の生産性と関連する。仁川(インチョン)大学経営学科のホン・ギヨン教授は「労働改革を通じた生産性向上が経済を生かす正攻法。選挙期間には票を得るため労働者中心の公約を掲げたとしても当選後に労働改革を推進する時は企業とともに進まなければならない」と話した。

経済団体は大統領当選を祝いながら提言する論評を出した。大韓商工会議所は論評で「急変する世界的環境で国の能力をひとつに集めるリーダーシップを発揮し、国の発展と経済再跳躍を率いてくれるよう望む」と明らかにした。韓国経済人協会は「起業するのに良い環境を作り革新と挑戦の経営が拡散するように努力することを望む。経済界も投資と雇用拡大など本来の役割に最善を尽くしたい」と話した。貿易協会は「汎政府次元の通商外交能力を総動員した実利中心の交渉戦略を通じて韓国企業の対外通商リスクを最小化することに積極的に乗り出すことを望む」と求めた。

2025/06/04 07:03
https://japanese.joins.com/JArticle/334541

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