「尹政権、日本の嘘を口述筆記」…韓国の通商専門家によるLINE問題の分析

投稿者: | 2024年5月13日

‐日本は今回の件はデータセキュリティーという「経済安全保障」の問題だと主張しているが。

 「日本側には経済安全保障に対する実際の懸念はある。仮に日本のヤフーが韓国に進出してデータが流出したとすれば、韓国政府はどのように反応するだろうか。まずは、日本のデータ安全保障に対する懸念を理解することを前提にして、対話の出発点としなければならない。日本の政府や政界の保守派が、韓国のネイバーと関係しているLINEヤフーが日本の主要インフラを握っているという懸念を、かなり以前から持っていることも、問題の根底にある。日本ではLINEヤフーの影響力はきわめて大きい。日本企業46万社が、LINEヤフーを基盤とするLINEワークスを、チャット、メール、住所管理、顧客の予約スケジュール管理などに使っている。金沢市、愛知県、大阪市などの地方自治体や地方議会でも使用しているところが多い。日本政府は、韓国企業が日本の重要な基本インフラを握っていることが不安で嫌なのだ」

‐韓日の安全保障協力が強化されているが、日本は安全保障上、韓国を信じられないという態度ではないのか。

 「韓日と韓米日が『価値と理念を共有する類似国』(like-minded countries)であることを強調して昨年のキャンプ・デービッド首脳会議を行い、安全保障協力を強化することにしたが、日本政府が介入して韓国企業にこのような要求をすることは、明らかに無理のあることだ。日本が韓国をそのようにみるならば、韓米日キャンプ・デービッド宣言は無に帰することになる。同時に、韓国でこの問題を反日感情に結びつけることも役に立たない。この問題に伊藤博文を巻き込み、独島(トクト)訪問などでアプローチする野党指導者(の対応)は、日本の右派の反発を引き起こし、問題を複雑にさせ、ネイバーの助けになるどころか、むしろ深刻な被害をもたらすことになるだろう。日本でLINEヤフーが韓国と関係していることがよりいっそう強調され、これを機にネイバーとの関係を確実に断絶させなければならないという方向に力が加えられることになる」

‐総務省の措置をどのように評価するか。

 「総務省の措置には無理があることは明らかだ。ネイバーと結びついているLINEヤフーで一部のセキュリティー問題があったとしても、総務省が過剰反応しているとみられる。すでにネイバーがLINEヤフーの経営権も持っていない状況のもとで、株式売却でセキュリティー問題を解決できるのかどうかも確かめてみなければならない。LINEヤフーは、技術とコンテンツの面でネイバーに依存せざるをえない状況にある。ソフトバンクもそのような理由のためにネイバーと合併したのだ。にもかかわらず、総務省がこれほどの短期間で関係を断ち切れとするのは、現実的に無理がある」

‐今回の問題におけるソフトバンクの立場はどのようなものか。

 「その点をよく把握する必要がある。現実的に総務省の要求どおりに、短期間にネイバーとLINEヤフーが関係を断ち切ることは不可能だ。ソフトバンクがそもそもネイバーと手を握ったのは、ネイバーのインフラ、クラウド、様々なネットワークから恩恵を受けられるからだ。総務省がこのように無理にすべて断絶させることは、ソフトバンクにとっても大きな痛手だ。それに、ソフトバンクが資本と技術で一人立ちすれば、LINEヤフーのセキュリティーが強化されるという保障はあるのか」

‐韓国政府が韓日関係を考慮して日本に過度に弱腰で対応したという批判がある。

 「ネイバー側もこの問題が大きな注目を集めることを望んでおらず、韓国政府にも静かに対処してほしいと要請をしたというのが実際のところだと思う。しかし同時に、韓国政府が韓日関係を考慮して弱腰で対応した側面もあるとみられる。特に、10日に科学技術情報通信部のカン・ドヒョン第2次官が、遅ればせながらも示した韓国政府の立場は、まったく話にならない。カン次官が「日本政府は、行政指導に株式売却という表現がないことを確認したが」と言った後、それでも韓国企業にとって圧力と認識される点について遺憾の意を表明したことは、状況を深刻に誤魔化したものだ。実質のところ、日本政府の株式売却圧力はすでに明白になっており、日本の行政指導の公文書にも、はっきりと「資本関係の解消」という表現がある。日本政府が嘘をついたのだ。しかし、韓国の科学技術部次官がこのような基本的な事実さえ確認せず、総務省の話を口述筆記したも同然だ。

‐もはや韓国政府がより積極的に乗りだすしかない局面にある。韓国政府は何をすべきか。

 「韓国政府は、ネイバーの立場を尊重しながらも、日本政府が強引に海外企業に関与することは座視できないとするシグナルを強く明確に送り続けなければならない。この問題が、総務省の立場どおりに一方的に処理されてはならない。セキュリティー専門家、IT企業の専門家、市民が集まって公論化し、最善の解決策を見出す必要があり、日本政府が出てきてこのような形で企業に圧力をかけることに対して、問題を提起しなければならない。今こそ韓国政府が強く明確に、韓国企業を適切に保護しているというシグナルを日本に示さなければならない。特に、『自由民主主義』を標ぼうする日本という国家が、安全保障を名目に、外国企業が出資したLINEヤフーという企業にどのように対処するのかについては、きわめて重要な意味を持っているという点を、はっきりと言及しなければならない。日本に投資した多くの海外企業にとっても焦眉の関心事だという点を、日本政府は重く認識しなければならない」

2024/05/12 20:15
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/49994.html

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