日帝戦犯企業を相手取った損害賠償請求訴訟での勝訴を導いた強制動員被害者の故イ・チュンシクさんが第三者弁済金を受け入れた背景には、イさんの子どもたちによる私文書偽造があったことが明らかになった。
光州(クァンジュ)西部警察署は30日、「6月25日、イさんの2人の子女を私文書偽造などの疑いで送検した」と明らかにした。
2人は昨年10月、光州のある病院で、アルツハイマーで入院中のイさんを病院の書類だと言ってだまし、第三者弁済金の申請書に署名させた疑いが持たれている。
同月30日には、行政安全部傘下の日帝強制動員被害者支援財団から2人に3億ウォン台の判決金が支給されている。同日には長男のチャンファンさんが記者会見を行い、「父の意思ではない」と述べるとともに、警察に2人の弟妹の調査を求める告発状を提出している。イさんは今年1月27日、101歳で亡くなった。
警察による調査で、立件された2人のうちの1人は犯行を自供したという。イさんを支援してきたイム・ジェソン弁護士によると、病院の廊下で財団の職員から申請書類を受け取った2人は、病室に入っていき、イさんの手を取って書類に署名したという。
警察は、「第三者弁済金は受け入れない」と表明しているイさんのインタビューも参考にしたと明らかにした。ただし、財団が立件されたイさんの2人の子女をそそのかしたかについては確認されていない。
イム弁護士は「まだ検察の捜査が残っているが、イさんは名誉を守ったということが知られて幸い」だと語った。
光州で生まれたイさんは、1943年1月に岩手県にある日本製鉄釜石製鉄所に連れて行かれ働かされたが、賃金は受け取れず、1945年1月からは神戸で米軍の捕虜の監視員をさせられていた。解放後は帰国。イさんは2005年2月、損害賠償を求めて、日本製鉄の後身の新日本製鉄(当時)をソウル中央地裁に提訴。2018年10月30日に最高裁で勝訴した。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、日帝強制動員被害者支援財団に韓国企業が拠出した寄付金で日帝強制動員の被害者に対する賠償金を肩代わりする第三者弁済を推進。戦犯企業に免罪符を与えたという批判を浴びている。
2025/06/30 17:22
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