◇ベビーブーム世代の退職で「富裕高齢者」も増加
高齢層への資産偏重は今後さらに深刻になる見通しだ。高齢人口が増えている上に過去とは違い相当な資産を蓄積したいわゆる富裕高齢者も増加しているからだ。高度成長期を体験して富の蓄積の機会が多かった第1次ベビーブーム世代が60代に本格的に差しかかり生じた現象だ。実際に2019年と比べ昨年の資産5分位階層の平均世帯主年齢は最上位2階層である5分位が56.5歳から57.1歳、4分位が54.3歳から55.1歳にそれぞれ上がった。だが中間以下である2分位は54.8歳から53.4歳、1分位は57.2歳から55.2歳にいずれも平均年齢が若くなった。3分位は差がわずかだった。
高齢層は資産を青年層より先に蓄積したいわゆる「先取り効果」で富の格差をさらに拡大している。世界的な低金利基調が10年以上続いており、資産価格上昇幅が労働所得上昇幅を大きく上回ったためだ。さらに最近の急激な不動産価格上昇はこうした格差をさらに拡大させた。実際に統計庁によると、2022年に住宅を所有する個人のうち60歳以上の割合は41.2%に達した。これに対し39歳以下の割合は11.9%にとどまった。自然と40代未満の若年層では懸命に働いても突然貧困層になるという現象も出てきた。こうした現象は現在50代である第2次ベビーブーム世代が60歳以上の高齢層に進入すればさらに深まる可能性が高い。50代は韓国で平均純資産と人口数が最も多い世代だ。世代間資産格差の壁がこのまま固まれば、社会的対立要因として作用する恐れもある。
◇高齢層が資産独占…消費と投資鈍化の可能性
高齢層に資産が偏るのは消費と投資など経済成長にも障害だ。世界的コンサルティング企業のボストンコンサルティンググループは最近金融委員会に提出した報告書で「不動産を含む非金融資産が64%である韓国と、金融資産の割合が63%である日本の高齢層は異なる成長曲線を示す可能性が濃厚だ。消費余力がある日本の高齢層に向け保険やヘルスケア産業が急激に成長したが、韓国の高齢層は消費余力が低く成長が不透明だ」と指摘した。
消費だけではない。不動産を中心にした高齢層の資産独占は株式市場にも脅威だ。リスクを回避する高齢層の性向から株式投資の動機が落ちるからだ。国民年金も年金支払いのため保有株式を売らなければならないため投資需要減少は避けられない。実際に梨花(イファ)女子大学経済学科のキム・セワン教授と未来アセット資産運用のキム・ギョンロク顧問が統計庁の将来人口推計を基に資産した結果、KOSPI時価総額は2070年には現在の3分の1水準である618兆2000億ウォンまで減少するものと現れた。
2024/05/13 11:43
https://japanese.joins.com/JArticle/318566