韓国と日本はいずれも米国にとって重要な同盟国だが、今はどちらもトランプ大統領による通商圧力の最優先「ターゲット」となり困難な状況に追い込まれている。「同病相憐れむ」の状況だが、両国が頭を痛める要因は完全に異なる。韓国は米国の閣僚と会うこともできず地団太を踏む状況だが、日本は世界のどの国よりも米国と高官レベルでの協議を重ねながら、成果が全く得られない状況だ。
■米国政府高官との窓口がない韓国
韓国政府は米国の主要閣僚との窓口や接点を増やせない状態が続いている。韓国大統領府の魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安全保障室長を6日に急きょ米国に派遣したが、魏聖洛室長と米国のルビオ国務長官との会談は非常に短時間で終わったという。魏聖洛室長はベッセント財務長官との会談も希望したが実現しなかった。呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長はラトニック商務長官と2回あったが、交渉での進展はみられなかった。
複数の問題を一括して妥結できる首脳間の交渉は事実上全く行われていない。李在明(イ・ジェミョン)大統領は就任後に行われた20分間のトランプ大統領との電話会談の他は一切話し合いを行っていない。当初はカナダでのG7(主要7カ国)首脳会議で会談の実現が期待されたが不発に終わり、その後は電話会談なども行われていない。首脳会談実現の見通しは今も不透明な状況が続いている。
米国との外交交渉を担当する韓国外交部(省に相当、以下同じ)長官、またベッセント財務長官と交渉する企画財政部長官も未だに空席だ。かつて国連大使などを歴任し今回外交部長官に指名された趙顕(チョ・ヒョン)氏、また経済副首相兼企画財政部長官に指名された具潤哲(ク・ユンチョル)氏(ソウル大特任教授)に対する国会人事聴聞会は今月17日に行われる予定だ。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権で任命された趙賢東(チョ・ヒョンドン)駐米大使は李在明政権発足後、首脳会談に向けた交渉など主要な業務から排除されているという。李在明大統領からの親書を米国に届ける特使派遣も準備しているが、トランプ大統領が経済と安全保障の両面で圧力を強める今の状況では特使だけで目に見える成果を出すのは難しそうだ。李在明大統領は米国への特使として金鍾仁(キム・ジョンイン)元国民の力非常対策委員長、李彦周(イ・オンジュ)共に民主党最高委員、キム・ウヨン議員を検討中だが、3人はいずれも関税交渉や安全保障問題に特に詳しいとは言い難い。韓国大統領府関係者も「現時点で特使訪問の日程は決まっていない」と伝えた。
韓国が米国の関心の外に追いやられるとの懸念も浮上している。トランプ大統領は各国の首脳と対面あるいは電話会談を行った際にはSNS(交流サイト)の「トゥルース・ソーシャル」でたびたびその内容を公表しているが、李在明大統領との電話会談には全く言及しなかった。
■米国と交渉を重ねても成果が得られない日本
日本は今年4月以降、世界のどの国よりも米国と何度も緊密な交渉を重ねてきた。日本の赤沢亮正・経済再生担当大臣はワシントンでベッセント財務長官やラトニック商務長官らと7回交渉し、その他にもたびたび電話で話し合っている。石破茂首相はトランプ大統領と4回電話会談を行い、先月もG7首脳会議の際に首脳会談を行った。しかし「8月1日からの25%相互関税」という結果だけをみれば韓国と何ら違いがない。
米国の交渉担当を務めるベッセント財務長官は大阪関西万博の「米国ナショナルデー」となる19日に大阪を訪問する予定で、日本にとっては新たな交渉の機会も確保されたと言えるが、それで突破口が見出せるかは不透明だ。
日本の野党各党は石破首相に対し「交渉に失敗すれば辞任すべきだ」と批判を強めている。日本の野党第一党である立憲民主党の野田佳彦代表は8日「経済再生担当大臣は7回も米国を訪問したが、目標達成は逆に遠のいている」「交渉がうまくいかないなら政権交代すべきだ」と発言した。
日本国内では「交渉がうまくいかない原因は未だに『トランプ大統領の意中』が把握できないため」との見方もある。読売新聞の報道によると、一時は「(合意まで)95%到達した」と自信を持っていた石破首相だが、最近は「トランプ大統領が何を考えているかわからない」と周囲に漏らしているという。トランプ大統領は今月初めに突然「日本は米国からコメを輸入しない」と公の場で突然不満をあらわにしたが、これは日本にとっては農業関係者の反発もあり譲歩できない事案だ。米国との交渉の実務担当者からは「米日間の交渉内容がトランプ大統領にしっかりと伝わっていない」などと不満を口にしている。
東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員、パク・サンギ記者
2025/07/10 09:59
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/07/10/2025071080048.html