◇揺れる韓日関係に1000人台に急減
だが日本の修学旅行生の韓国訪問は2000年代後半に入り下り坂を歩き始める。2万人台後半だった修学旅行生の規模は2000年代後半を基点に下落し、2014年以降その幅が激しくなり、2017年以降には1000人台にまで落ち込んだ。
対外変数と揺れる韓日関係が大きな影響を及ぼした。2006年の北朝鮮の核実験強行で安全保障に対する脅威が大きくなった。2012年には李明博(イ・ミョンバク)大統領が独島(ドクト、日本名・竹島)を訪問し、従軍慰安婦問題に対し天皇の謝罪を要求すると日本国内では右翼を中心に嫌韓ムードが拡大した。韓国でも2019年に安倍晋三首相の輸出規制措置後にいわゆる「ノージャパン」の世論が拡散する。自然に韓国は日本の修学旅行先順位で下がり始めた。
2018年に「韓日人的交流に関する研究:高校生交流事業事例を中心に」という研究論文を発表した深堀すずか元韓日産業技術協力財団研究委員は「学校の引率下で生徒らが参加する団体旅行では『安全』が最優先。反日感情の強まりと北朝鮮の核実験、2014年のセウォル号事故などにより日本の父兄に韓国は危険なところという思いが大きくなった」と話した。その上で「日本を身近に思う台湾や、英語を学習する機会が多いオーストラリアと東南アジアなどが韓国の位置を代替した」と説明した。
コロナ禍でふさがった海外修学旅行の道は4年ぶりの2023年に再び開かれた。2023年に2000人台、昨年は5000人台を記録するなど底を打って回復傾向に入り込んだという評価が出ている。修学旅行などで訪韓する外国の学校と韓国の学校の交流を支援する韓国教育旅行協会のキム・ギュサン氏は「日本の学校の場合、自治体ごとに修学旅行費に上限を設定するため地理的に近い韓国は予算面で依然として競争力を持つ。梨泰院クラス、BTSやSEVENTEENなどに熱狂する日本の若い世代の韓国カルチャーに対する関心も主な強み」と話す。
◇底は打ったが…新政権が立ち上がらなくては
だが1990年代と同じ規模に回復するための動力は得られずにいる。在日本大韓民国民団の金利中(キム・イジュン)団長は「日本の学校は姉妹提携など韓国の学校との交流を通じて修学旅行に行きたがるが韓国側の呼応が低調だ。韓国の自治体と学校がより積極的に日本側のカウンターパートにアピールする必要がある」と話した。
韓国の現場の状況は違う。キム・ギュサン氏は「教育部や文化体育観光部次元で国際交流活動に対するインセンティブがない。韓国の学校では日本の生徒らとの交流を追加の業務負担と受け止めることが多い」と話した。日本の中高生の韓国に対する関心を受け入れる余裕がないという話だ。
結局新政権の役割が重要という評価が出ている。韓国東西大学の張済国(チャン・ジェグク)総長(元現代日本学会会長)は「選挙で選ばれる自治体首長は日本との友好交流が及ぼす政治的波紋に神経を尖らせるほかない。李在明政権が韓日交流に向けた制度準備に出るなど日本との関係を維持するという意志を一貫して見せてこそ自治体も動く」と話した。
これは日本国内に潜在する李在明政権に対する不信を鎮める上でも重要だ。深掘元研究委員は「昨年12月から非常戒厳事態と大統領弾劾など韓国社会の政治的に混乱した様相は日本のニュースでも大きく報じられ不安感を持っている人が少なくない。李在明大統領就任後に韓国内で反日ムードが起きたらどうするかと尋ねる人が依然として多い」と話した。
交流方式の変化も必要だ。チョ・アラ研究委員は「両国の人口減少状況を考慮すれば既存の大規模修学旅行は限界がある。これに対し部活などの小規模テーマ型教育旅行プログラムを広める方向で韓日の中高生の教育旅行を活性化する必要がある」と話した。
2025/07/13 11:50
https://japanese.joins.com/JArticle/336173