韓国司法、『帝国の慰安婦』内容削除の仮処分を10年経て取り消し

投稿者: | 2025年7月17日

 韓国司法は、日本軍「慰安婦」被害者の名誉毀損と人格権侵害の可能性を理由にパク・ユハ教授の著書『帝国の慰安婦』の一部内容の削除を命じた仮処分決定を取り消した。

 ソウル東部地方裁判所民事合議21部は、2015年2月17日に世宗大学のパク・ユハ名誉教授の著書『帝国の慰安婦』に対して下した図書出版など禁止の仮処分決定を、15日に取り消した。パク教授が同書の内容で告訴・告発されてから11年1カ月、裁判所が同書の34の内容に対して削除の仮処分決定を下してから10年5カ月を経ての決定だ。

 パク教授は『帝国の慰安婦』で、朝鮮人の日本軍慰安婦は「売春」をしていた、「日本軍とは同志的関係」であった、日本帝国は彼女たちを強制連行していないと主張し、被害者の名誉を傷つけた疑いで2015年12月に起訴された。一審は無罪を言い渡したが、二審は起訴理由となった35件の表現のうち11件が虚偽事実提示名誉毀損に当たるとして、罰金1千万ウォンを言い渡した。二審は特に「強制連行という国家暴力が朝鮮人慰安婦に関して行われたことはない」、「慰安婦とは根本的に売春の枠内にいた女性たち」などの表現を問題視した。

 だが最高裁は2023年10月に、これらの表現は「他人の名誉を傷つける事実の提示とは見なしがたい」として破棄し、差し戻した。続いて破棄差し戻し審でも、最高裁の趣旨に沿って「差し戻し前の二審が有罪と認めた表現は、学問的主張ないし意見」だとして無罪を言い渡した。

 今回の仮処分を担当した法廷も、先の民・刑事裁判の判決趣旨と類似した結論を下した。裁判所は「表現行為に対する事前の抑制は、表現の自由を保障し検閲を禁止する憲法の趣旨に照らして、厳格で明確な要件を備えている場合にのみ許される」として、「(パク教授の著書の内容は)学問的主張ないし意見表明だと評価するのが妥当であり、具体的事実を提示して名誉を傷つけたということが十分に証明されているとは見なしがたい」と判断した。

 裁判所は、パク教授が「自発性」、「同志的関係」などの表現を用いたことに対しても「学問的意見や主張を表明したもの」だと判断した。裁判所は「朝鮮人日本軍慰安婦の境遇と役割に関する学問的意見ないし主張を表明したと考えられるに過ぎず、『朝鮮人日本軍慰安婦たちは自発的に入っていったものだ』、『日本軍と同志意識を持ち、日本帝国または日本軍に愛国的に、誇りを持って協力した』という命題を単線的に前提していると考えるのは難しい」とし、「侮辱的で軽蔑的な人身攻撃あるいは事実を歪曲する公表行為に当たるため、人格権を侵害する、ということが証明されたと見なすことも難しい」と述べた。

2025/07/16 17:25
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/53748.html

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