30カ月齢以上の米国産牛肉の輸入問題が、韓米関税交渉の主要議題として浮上した。政府内の一部では、この機会に輸入禁止を解除しようという意見も出ている。国内市場への影響は大きくないとの分析に基づいたものだ。16日、韓国政府の高官は「韓国はすでに米国産牛肉の最大の輸入国であり、米国産牛肉全体のうち30カ月齢以上の割合は2~3%に過ぎないという点で、輸入禁止の解除も検討に値する事案だ」と説明した。
全米肉用牛生産者・牛肉協会(NCBA)などは「2008年、韓国が米国産牛肉の輸入を全面的に開放するとし、暫定措置として30カ月齢未満の牛肉の輸入を許可したが、その暫定措置が16年以上も続いている」とし、「中国・日本・台湾は米国産牛肉の安全性を認め、韓国と同様の30カ月制限をすでに解除している」と主張している。米国政府はこのような業界の要請を受け入れ、牛肉市場の追加開放問題を今回の関税交渉における主要な圧力カードとして活用している。
しかし韓国側としては、この問題を有利に交渉を進めるためのテコとして活用する余地があるという分析も出ている。李明博(イ・ミョンバク)政権時代、BSE(牛海綿状脳症)問題が狂牛病に対する大論争に発展した前例から見ても、月齢制限を解除することが韓国の消費者の拒否感を強める可能性があり、米国内でも意見が分かれている状況だ。ある通商当局関係者は「30カ月月齢制限は韓国で米国産牛肉に対する信頼を高める役割をしている。また、韓国国内にはオーストラリア産という代替手段もある」とし、「こうした事情を把握している米国内の利害関係者も多い」と説明した。
米国側の実利も大きくないという分析もある。米国食肉輸出連合会によると、韓国は2021年から4年連続で米国産牛肉(精肉基準)の輸出量第1位を維持している。
問題は、国内の反発の声が次第に強まっている点だ。韓牛生産者団体である全国韓牛協会は「月齢制限が撤廃されれば、国内市場でBSEに対する不安が高まり、牛肉市場自体が萎縮し、韓牛の消費が減少しかねない」と主張した。国会農林畜産食品海洋水産委員会(農海水委)所属の共に民主党議員たちからも激しい反発の声が上がっている。
高麗(コリョ)大学国際大学院の朴成勲(パク・ソンフン)名誉教授は「30カ月齢以上の牛肉を輸入する代わりに、韓国の主力産業にかかる関税を大幅に引き下げることができるなら、米国の要求を受け入れることも考慮に値する」と述べ、「韓・チリFTA(自由貿易協定)締結当時に制定された通商支援法などを活用して農民の被害を補償し、関税緩和によって恩恵を受けた産業の利益を農民と共有するような方策で説得することも可能だ」と説明した。
2025/07/17 06:43
https://japanese.joins.com/JArticle/336363