韓国で自発的に離職する青年にも失業保険を支給する案が国政課題委員会の議論のテーブルに上がり詰めの検討中だ。制度導入時に失業保険全般に対する構造調整や保険料引き上げが避けられないという見通しが出ている。
政界と官界によると、当初雇用労働部が国政課題委員会に報告した案は▽自発的に離職した34歳以下の青年を対象に▽生涯1回▽離職後6カ月の待機期間を経て▽月最大100万ウォンずつ最大4カ月間支援する方式だ。しかし最近の議論の過程では待機期間を3カ月に短縮しようという提案とともに、支給対象年齢を2年ごとに10歳ずつ段階的に広げ全国民に拡大しようという意見も出ている。
現在失業保険は契約満了、勧告辞職、賃金未払い、疾病など非自発的に退社した場合にだけ受けられる。自身の未来のため自発的に退社した青年は失業保険対象から除外されるため、退社後の安定した求職活動が難しい。彼らの所得空白を埋め、求職準備に集中できるセーフティネットを用意するというのが制度の趣旨だ。
だが支給対象が拡大する場合、年間2兆ウォンを超える予算が必要になると予測される。国政課題委員会関係者は「大きな財政が必要とされるだけに財政当局の反発を乗り越えるのは容易でないという意見があり、対象と支給期間をめぐって苦悩中」と伝えた。
制度がモラルハザードを招くという懸念も提起される。いまも自発的退職にもかかわらず会社に「失業保険を受けられるようにしてほしい」と非自発的退職を装うケースが少なくない。5年間に3回以上受給する反復受給者もやはり2020年の9万3000人から2024年には11万3000人と約20%増加した。江原(カンウォン)大学法学専門大学院のキム・ヒソン教授は「自発的失業者に単発的に支給される失業保険は入社初期の青年の勤続意志を弱めさせかねない。受給要件だけクリアしたらすぐに退社するなど望ましくない受給形態を誘導しかねない」と指摘した。
より現実的な問題は、失業保険の財源である雇用保険基金がすでに枯渇状態を超え実質的になくなっている点だ。2023年末基準で雇用保険基金の残高は約7兆8000億ウォンだが、このうち10兆3000億ウォンは公共資金管理基金からの借入金だ。2021年に5兆5000億ウォン水準だった借入額は2年で2倍近くに増えた。見かけには残高があるように見えるが、実際には2兆ウォン台の赤字を記録していることになる。今年に入り失業保険支給額が毎月1兆ウォンに達しており、すでに第2次追加補正予算を通じて1兆3000億ウォンを拡充した状況だ。また、雇用保険を活用したセーフティネット拡充政策が大挙予告されている。
追加失業保険制度導入時には雇用保険料引き上げが避けられないという見通しが出ている。自発的離職者に失業保険を支給する国はドイツ(2.6%)、フランス(4.0)%、日本(1.45%)などで、日本を除くとほとんどが韓国の1.8%より雇用保険料率が高い。追加引き上げ時に2%台を超える可能性が大きい。だが景気低迷が続く状況で小商工人の強い反発は避けられないものとみられる。
失業保険制度の構造的問題をまず解決すべきというのが専門家らの指摘だ。来年の最低賃金引き上げにより、最低賃金に連動された下限額が上限額を超過する逆転現象が発生し、制度設計の不均衡が本格的に現れた。現在の失業保険下限額は月192万5760ウォンだが、税引き後基準最低賃金労働者の実受領額187万4490ウォンより多い。働く人より失業保険を受ける人がより多くの収入を得る構造ということだ。いくら長期間保険に加入しても最大受給期間は270日にすぎない。
建国(コングク)大学経営学科のユン・ドンヨル教授は「実受領額が最低賃金より高い下限額は減らすが、あまりに低い側面がある上限額は受給期間や条件により引き上げる必要がある」」と助言した。
2025/07/22 06:56
https://japanese.joins.com/JArticle/336546