対米「先輸出効果」消え、ドル安と関税賦課の「三重苦」

投稿者: | 2025年7月23日

 今年下半期に対米先輸出効果が消滅し、米国の高率関税賦課とドル安が本格化すれば、主要先進国の輸出と成長の勢いが大幅に鈍化する可能性があるとみられる。

 22日、国際金融センターが発表した報告書「米国の関税による主要先進国の輸出および成長」によると、今年第1四半期(1~3月)の米国の総輸入は前年同期比22.7%急増したが、4~5月にはそれぞれ3.3%増にとどまった。4月、米ドナルド・トランプ政権の相互関税発表に先立ち、米国企業等が先制的に在庫確保に乗り出し急増した輸入増加傾向が急激に鈍化する様相だ。

 この間、主要先進国は対米「先輸出(front-loading)効果」に支えられ、製造業の生産および国内総生産(GDP)が大幅増加した。例えば、今年第1四半期のアイルランドは国内総生産(GDP)が前期に比べ7.4%増え、2021年第1四半期(9.7%)以来最高値を記録しており、同期間に台湾経済は5.5%(前年同期対比)成長し、2021年第2四半期(8.2%)以来最大値を記録した。一方、米国の第1四半期の国内総生産(GDP)は純輸出(輸出-輸入)が大幅に減少し、前期に比べマイナス成長(-0.3%)した。

 かつての関税紛争の時期でも先輸出効果はそれほど長くは続かなかった。米国投資銀行ゴールドマンサックスの分析によれば、2018〜2019年米国の対中関税賦課以前の3カ月間に米国の輸入は3.7%増加したが、逆に関税が賦課された以後3カ月間は3.5%減少した。

 ドルの価値が弱まったのも輸出鈍化の圧力として働く見通し。ゴールドマンサックスの国別パネル分析の結果、主要国の通貨価値が強気に転じ(ドル安)、今年下半期にこれらの国の全体輸出は約3%減少すると推定された。特に、これまで通貨価値の上昇幅が大きかったユーロ圏と英国の輸出における衝撃が相対的に大きいものと予想された。

 8月から米国の高率関税賦課が現実化すれば、主要国の対米輸出だけでなく、グローバル交易全体に直接的な打撃が予想される。英国の経済リサーチ会社「キャピタル・エコノミクス」の分析によれば、米国の関税率が1%引き上げられる時、主要輸出国の対米輸出は短期的に約1.3%、長期的には約4.0%減少すると推定された。さらに、グローバル商品交易の成長率は2024年2.4%から2025年2.2%、2026年には1.0%へと傾向的に鈍化すると予測された。

 ゴールドマンサックスは、輸出先の輸出効果の消滅とドル安への転換、米国の関税賦課などをすべて考慮すると、主要国の今後6カ月間の総輸出は約10%以上減少する可能性があると分析した。カナダや日本、英国、ドイツなどは先輸出効果の消滅にともなう輸出打撃が大きく、カナダ、中国、日本などは関税の影響がさらに大きいと見通した。

 主要国の輸出鈍化は成長率の下落につながる見通しだ。ゴールドマンサックスの国別パネル分析によれば、輸出増加率が10%減少すれば産業生産は今後6カ月間で1〜3.5%減少すると推定された。また、主要先進国の輸出減少が米国の景気減速とあいまって、世界経済成長率(対前期比年率)は今年第1四半期の2.8%から第2四半期は2.4%、第3四半期は1.7%、第4四半期は1.8%と、傾向的に鈍化するものと予想された。

2025/07/22 14:53
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/53808.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)