来月1日に予定された米国の相互関税施行を控え、韓国政府が「オールコートプレス」戦略で対米協議に入る。
具潤哲(ク・ユンチョル)副首相兼企画財政部長官は22日、「私と通商交渉本部長がベッセント米財務長官とグリア通商代表部(USTR)代表と『2プラス2』で25日に(米ワシントンDCで)会議をすることで確定した」と明らかにした。この日午前に開かれた新政権初めての対外経済閣僚会議でこのように決めた。
米国がラトニック商務長官の代わりにグリア代表を出し、韓国も産業通商資源部長官の代わりに通商実務を総括する呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長がテーブルに就く。産業通商資源部の金正官(キム・ジョングァン)長官は23日に訪米しラトニック長官と会う予定だ。外交部の趙顕(チョ・ヒョン)長官も近く米国を訪問し交渉の場を設ける。
魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長、韓米議員連盟訪問団はすでに米国入りしている。この日午前米国に出発した呂本部長は「期間にしばられて国益を犠牲にしない線で来月1日までに最善の結果を導出するのが目標」と話した。
韓国政府は米国の要求を総合した「パッケージディール」を準備した。バスケットボールのコート全体でディフェンスをする「オールコートプレス」戦略のように防衛する計画だ。交渉範囲は▽造船・半導体など産業協力▽自動車輸入規制緩和▽アラスカ液化天然ガス(LNG)などの投資拡大▽農産物・オンラインプラットフォーム規制など非関税障壁解消▽防衛費・国防費増額▽為替相場――などを網羅する。
合意導出までは難航が予想される。米国は非関税障壁の中で牛肉やコメなど農畜産物市場の開放を要求しているが、農民団体を中心に韓国側の反対が激しく確実な代案を用意できなかった。米国が強く反発しているオンラインプラットフォーム法導入案もやはり国会で関連議論が進行中だが政府と与野党間立場の差が大きい状況だ。
米国は網使用料賦課、グーグルの精密地図搬出などの問題解消も望むが、韓国企業保護と相反する問題だ。米国の要求事項であるアラスカLNG開発プロジェクト参加なども調整は容易でない。
安全保障支出交渉も難題だ。米国は2035年までに北大西洋条約機構(NATO)加盟国が国防費支出を国内総生産(GDP)の5%水準まで増やすという約束を引き出し、韓国も圧迫している。韓国の今年の国防予算61兆2469億ウォンはGDPの2.32%ほどだ。ぎりぎりの財政余力を考慮すると5%水準への増額は容易ではない。
米国は依然として強硬だ。関税交渉を主導しているベッセント長官は21日にCNBCとのインタビューで「重要なことは貿易合意の質であってタイミングではない」と述べた。米国側が望む譲歩案を持ってこない場合、高率の関税を来月1日から実際に施行し交渉の武器として活用する可能性を示した。
韓国政府消息筋は「米国内の政治的負担に直面したトランプ政権は顕著な成果と名分が急がれる状況。欧州連合(EU)と日本とは交渉が難航しているだけに核心供給網関連能力を持つ韓国との交渉でウィンウィンの構造を予想より早く引き出す可能性も排除することはできない」と話した。
西江(ソガン)大学国際大学院の許允(ホ・ユン)教授は「韓国政府が今回交渉妥結を望むならばその形は大きな枠組みで合意し、後続交渉を行う英国式モデルになるだろう」との見方を示した。
2025/07/23 06:49
https://japanese.joins.com/JArticle/336603