中国の輸出規制でレアアース在庫わずか1カ月分、対応に追われる韓国企業

投稿者: | 2025年7月23日

 最近韓国の自動車業界はレアアース(希土類)である「ジスプロシウム」の不足で非常事態に陥った。中国による輸出規制が3カ月を過ぎ、韓国企業のジスプロシウム在庫が底をつき始めたのだ。業界関係者は「ジスプロシウムは高温多湿に弱く、長期保管が難しいため、在庫は多くないが、今月に入って在庫が大きく不足している。通常レアアース在庫を3~6ヶ月分確保しようと努めるが、最近の米中対立で一部品目は在庫が1カ月にまで落ちた」と話した。このため、韓国政府も韓国鉱害鉱業公団による備蓄量を今月初め、一部の企業に貸与した。

 ジスプロシウムは今年4月、中国が輸出を規制した7種類のレアアースの一つで、半永久的に磁力を持つ「永久磁石」の重要原料だ。中国がほぼ全量を生産しており、医療装備から電気自動車(EV)モーター、風力発電機タービンなど磁石が必要なところには全て使われる。韓国の先端産業に欠かせないため、韓国政府も「10大戦略重要鉱物」の一つに指定している。

 中国の重要鉱物輸出統制の動きは鉱物需要の約95%を海外輸入に依存する韓国には致命的だ。韓国の主力産業である半導体、二次電池、EVのいずれもそうした鉱物が必須だ。産業通商資源部関係者は「韓国は主要国に比べ天然鉱物の種類が少ない上、採算性も低く、重要素材を特定国(中国)からの輸入に依存している状況だ」と話した。

 中国は韓国政府が2023年に指定した「重要鉱物33種」のうち30種を重要鉱物や輸出規制品目に指定した状態であり、中国の動きが韓国産業界に直ちに影響を及ぼすことになる。対外経済政策研究院による今年5月の報告書によると、韓国産業界で需要が高いレアアースと永久磁石の輸入が制限された場合、韓国では自動車部品で24.2%、二次電池で10.8%の輸出減少が見込まれるなど、大打撃は避けられない見通しだ。

 問題は韓国の主力産業が「環境配慮型」に進化すればするほど重要鉱物の需要も高まる点だ。産業通商資源部の分析によると、EVは内燃機関車に比べ6倍、風力発電はガス火力に比べて9倍の鉱物が必要だ。成均館大校政治外交学科の李熙玉(イ・ヒオク)教授は「中国が米国を狙って切った鉱物輸出規制のカードで韓国が被害を受けている。韓中間の交渉で先端産業サプライチェーンの安定を話し合うべきだ」と話した。

朴淳燦(パク・スンチャン)記者、イ・ヨングァン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

2025/07/23 07:00
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