ドナルド・トランプ米大統領が22日(現地時間)、日本との関税交渉を妥結したと電撃的に発表したことで、終盤の交渉に乗り出した韓国政府の足元にさらに火がついた。交渉結果が日本より不利になれば、国内産業の被害が大きくなりかねず、このような点を懸念してトランプ大統領を満足させようとすれば、過度な譲歩で他の分野の被害を大きくする恐れがあるからだ。政府関係者は23日「日本の交渉妥結の動向を注視している」と述べた。
トランプ大統領の発表は25日、韓米「2プラス2通商協議」を控えて出た。トランプ大統領は今月初めまでは日本が「お行儀が悪い」として、従来の発表より高い30〜35%の相互関税を賦課すると脅した。日本もそう簡単には引かないという態度を示し、日本の選挙日程まで重なって合意が容易ではないとみられていた。ところが、予想に反した突然の合意発表は、韓国交渉チームに負担を与えている。
まず韓国と日本は対米交渉において多くの面で似たような立場にある。産業構造と対米貿易構造が似ており、どちらも米国の軍事同盟だ。昨年、対米貿易黒字は日本が8位で685億ドル(約10兆380億円)、韓国は9位で660億ドル(約9兆6700億円)を記録した。全体対米輸出で自動車の割合が約4分の1である点も似ている。米国が韓日に25%という同じ水準の相互関税賦課を予告したことにも、このような点が反映されたものとみられる。そのため、政府内外では対米交渉で日本より先を行く必要はなく、少なくとも日本よりは悪い結果を受けることを避けるべきだという意見が多かった。
こうした中、日本が米国の要求を大幅に受け入れる内容の交渉結果が出たことで、韓国政府に対する圧力も強まる可能性がある。トランプ大統領は、日本がコメと自動車市場の開放拡大に加え、米国に5500億ドル(約80兆5900億円)を投資すると発表した。ソーシャルメディアでこのような計画を明らかにしたトランプ大統領は、以後ホワイトハウス行事では「彼らが私たちと共にアラスカで液化天然ガス(LNG)のための合弁会社を設立する合意をするだろう」とも述べた。
この日トランプ大統領が発表した対米大規模投資、コメなど農産物市場の追加開放、アラスカのLNG開発への参加などはこれまで韓国にも要求してきたことだ。日本メディアの報道によると、巨額の投資は出資と貸出保証などを通じて米国製造業投資を誘導する「投資ファンド」と似た形とみられる。ハワード・ラトニック米商務長官は最近、産業通商資源部のヨ・ハング通商交渉本部長との協議で、これと似た形の支援を要求したという。政府はアラスカのLNG開発事業への参加要求については、米国側が提示する資料に基づき経済性をさらに検討しなければならないという方針を示している。
韓国貿易協会のチャン・サンシク国際貿易通商研究院長は米日合意について、「日本が交渉力が落ちた状態で大きく譲歩したようだ」とし、「韓国はデジタル分野で譲歩し、日本ほどではないだろうが、対米投資などで『トランプに合わせた』交渉をしなければならないだろう」と話した。チャン院長は、日本が自動車関税を引き下げるために大きく譲歩したものとみられると語った。
米国と日本の関税交渉妥結のニュースを受け、関連省庁も慌ただしく動いた。通商・外交長官らが前日、対外経済長官会議を通じて交渉カードを準備したが、翌日、日本が米国産輸入米を増やす方式で市場への進入を認める内容の米日関税交渉が妥結する「大きな変動要因」が生じ、状況を見直さなければならなくなったためだ。
大統領室は同日、「米日交渉の結果の詳細を把握している。韓国政府の交渉にも参考にする予定だ」とし、「韓国政府も国益を最優先に米国との協議に臨む予定だ」という立場を示した。これと関連して政府関係者は「日本との交渉妥結という状況の変化にともなう議論をしなければならないのではないかと思う」と述べた。政府は牛肉やコメなどは「レッドライン」に設定し、交渉テーブルには上げないという方針を立てたが、状況を見直すという意味とみられる。ただし、米国と日本の合意にも国防費増額など安保関連事案は含まれていないため、韓国も直ちに通商懸案を中心に交渉に重点を置くものと予想される。これに先立ち、チョ・ヒョン外交部長官も米国が要求した国防費5%増額は「時間がさらにかかるだろう」と述べた。
2025/07/23 20:50
https://japan.hani.co.kr/arti/economy/53820.html