韓国、中小企業まで法人税引き上げ…全区間1ポイントずつ税率上げる(2)

投稿者: | 2025年7月28日

だが、税収増大効果は大きくないだろうという指摘も出る。この2年間の大幅な法人税収減少は税率引き下げよりは企業の営業利益が大幅に減った影響が大きい。税率よりは景気が税収にとってはるかに重要な要因という意味だ。明知(ミョンジ)大学経済学科のウ・ソクチン教授は「法人税最高税率を1ポイント上げても米国の関税などで大企業が厳しくなれば税収は1兆~2兆ウォンの増加にとどまるかもしれない。中小企業特別税額減免制度など不必要な特恵をなくさなくては税収を安定的に確保できない」と話す。

法人税引き上げであらわれるように今回の税制改編案の核心方向は「税収確保」だ。韓国政府はこれとともに金融・保険業に課される教育税を改編して税収拡充に出る方針だ。現在は一括で0.5%を課しているが、1兆ウォン以上の区間を新設してより高い税率を適用することが検討されている。

 証券取引税はKOSPIとKOSDAQとも一度に0.05ポイント引き上げ年0.2%に調整する案が有力だ。反発が大きい大株主譲渡所得税の場合、課税基準を既存の50億ウォンから10億ウォンへの引き下げが議論されたが、現在は30億ウォンで調整する仲裁案が有力に検討されている。

「税収拡大」という大きな方向性により、これまで国政企画諮問委員会を中心に議論してきた大規模減税は縮小または除外される。代表的なものが韓国版インフレ抑制法(国内生産促進税制)だ。国家戦略技術分野の製品を国内で生産したり販売する場合、生産費や生産・販売量によって法人税の一部を減免する方式だ。

当初半導体とバッテリーなど7つの国家戦略技術分野に対し最大30%の税額控除を与える案が議論されたが、中長期課題に転換する見通しだ。政府関係者は「韓国企業に恩恵を集中する方式なので米国との通商摩擦の懸念も検討しなければならない」と説明した。

租税支出構造調整パートでは今年末に期限を控えた相互金融組合員預託金と出資金非課税に手を入れる可能性が大きい。相互金融非課税は農漁民・庶民の所得増大を助けるために1976年に導入されたが、いまは一般人も出資金数万ウォンだけ払えば準組合員資格が得られるため中産層の節税手段に変質したという批判を受けてきた。ただ税制改編案に盛り込まれても国会通過は容易でないだろうという見方が強い。

配当所得税分離課税は与党内の一部の反対にもかかわらず押し切ることにした。ただし細部事項をめぐる調整が続いている。配当性向だけでなく配当成長率、株価純資産倍率(PBR)などを基準に含むのかと、減税幅を民主党の李素永(イ・ソヨン)議員案の最高区間27.5%より縮小するのかなどを話し合っているという。今後国会で政府案が縮小されたり修正されたりする可能性も大きい。企画財政委員会関係者は「委員会所属の与党議員の大部分が否定的な立場。証券市場活性化を税制措置で推進するのは適切でないという雰囲気」と伝えた。

ただ新政権の最大の関心事である人工知能(AI)に対しては大規模な優遇が盛り込まれる見通しだ。ひとまずAI研究開発を国家戦略技術に含めて税額減免率を20~40%から30~50%に引き上げる案が推進される。半導体と同じようにAI分野にも追加で5ポイントの税制優遇を付与することも検討中だ。このほかウェブコミック税額控除を新設し、子どもが多いほど所得控除を増やす案も税制改編案に含まれる見通しだ。

韓国政府が事実上増税カードを切ったのは、結局「財政のトリレンマ」という避けられない現実のためとみられる。財政トリレンマは高い福祉水準、少ない国の債務、低い租税負担という3種類の目標を同時に達成しにくい状況を意味する。

今後李大統領が掲げた福祉公約を実現するためにも支出を増やさなければならない。租税負担を上げるか国の債務を増やすしかない。基軸通貨国でない韓国が米国や日本のように国債を発行して財源を調達するのは限界がある。結局、高い福祉水準と低い国の債務の2つをクリアするために低い租税負担をあきらめるほかないという話だ。

2025/07/28 09:02
https://japanese.joins.com/JArticle/336790

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