7月30日(現地時間)に電撃的に妥結された韓米関税交渉について、通商専門家は「悪条件の中でも造船業の対米進出など実利を得た」としながらも、「自動車関税率では惜しい点があり、長期的には韓国の未来戦略についての課題を投げかける結果だ」と口を揃えた。
高麗(コリョ)大学経済学科のカン・ソンジン教授は「3500億ドル(約53兆円)の対米投資額には造船業進出の資金などが含まれており、農畜産物に対しても善戦しただけに、全般的に最善を尽くした交渉」と評価した。カン・ソンジン氏は「何よりも韓国産業の国際競争力を今後どう維持するかを考えるべき時点」と強調した。製造業中心の対外貿易構造では、今後持続的な成長が難しい状況に直面する可能性があるためだ。特に造船業を米国に移転する内容が協定に含まれており「(協定が)長期的には国内の造船産業エコシステムを崩壊させる懸念」もあると述べた。
淑明(スンミョン)女子大学経済学部のカン・インス教授も、経済規模に比べてやや大きい対米投資額について、肯定的・否定的な両面があるとした。カン氏は「造船業や半導体など先端産業で米国と共生する協力構造をどう作るかが課題だが、むしろ日本や欧州連合(EU)に比べれば機会要因にもなり得る」と語った。ただし韓国が米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいながらも、今回の関税交渉以降「米国市場に対する接近上の利点を失った」点を指摘した。
対外経済政策研究院の元上級研究委員である徐溱敎(ソ・ジンギョ)GS&Jインスティチュート院長は「韓国が他国の交渉戦略を注視し、うまく活用した」と評価した。半導体や医薬品の関税については「他国に比べて不利ではない待遇」〔金容範(キム・ヨンボム大統領室政策室長〕を受けることになったが、これは韓国より先に交渉を妥結させた日本の戦略をうまく模倣した例だという。
徐氏は、韓米FTAで獲得した自動車関税上の利点が消えた点については残念だと述べた。これまで韓米FTAに基づき韓国産自動車は関税が0%だった一方、日本やEUは2.5%の関税が課されていた。米国は今回の関税交渉で韓・日・EUの自動車関税を15%に均等化し、韓国車が享受していた2.5%の利点はなくなった。
高麗大学国際学部のキム・フンジョン特任教授も「(自動車の0%関税などはなくなったが)韓米FTAは今後も痕跡が残るよう努力を続けるべきだ」と求めた。キム氏は「韓米FTAには関税以外にもサービスや政府調達などの条項があり、予期しない問題が発生した際にこれを通じて協議する余地があるため」と述べた。
ドナルド・トランプ大統領以後、世界の貿易秩序自体が変化している現実を受け入れなければならないという提案もあった。産業通商資源部通商紛争対応課長を務めた国際法秩序研究所のチョン・ハヌル代表は「米国は多国間主義に基づく自由貿易体制から事実上離脱したと見るべきだ」とし「米国の利益を中心とした新たな貿易秩序を築いている段階だ」と述べた。
2025/08/01 09:23
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