日本政府は青年層の扶養負担を減らすために「PLAN75」を導入する。75歳になると国が死を支援する制度で、死を誓うと10万円(約94万ウォン)を一括支給する。安楽死させ、火葬場も無料で提供する。日本政府は施行3年目に1兆円の経済効果を広報し「PLAN65」の導入検討を発表する。2022年カンヌ国際映画祭で特別賞を受賞した早川千絵の「プラン75」が描いた日本超高齢社会を扱った仮想の話だ。
韓国は2024年12月末、全人口の5人に1人が65歳以上の超高齢社会に入った。超高齢社会は生産可能人口の減少、老年扶養費の増加、内需市場沈滞、地域消滅、世代葛藤など経済的・社会的・個人的に多様な問題を惹き起こし、その効果は徐々に現れる。そのため事前に徹底的かつ綿密な準備が必要だ。
日本は韓国より約20年前の2007年、超高齢社会に突入した。低出生と高齢化が招いた構造的低成長から抜け出すために、大規模な金融緩和、積極財政、企業活力の向上など多方面で努力してきた。このような政策などに支えられ、最近の日本経済は長い低迷から抜け出し、新しい変化を模索し、肯定的な姿を見せている。人口消滅危機に対する日本の対応事例は、韓国が何をどのように準備すべきか、明確な羅針盤になる。
高齢者の国、彼らの生き方
長寿が祝福になるためには、あらかじめ準備するしかない。日本は超高齢社会に進入して10年が過ぎた2017年、高齢社会の金融サービス基本方向を樹立し、生涯にわたる資産管理サービス体系を構築した。我々はさらに早めることができるだろう
この内、注目すべき制度は韓国の個人総合資産管理口座(ISA)・個人型退職年金(IRP)と類似した日本の小額投資非課税口座(NISA)と個人型確定拠出年金(iDeCo)で、恩恵を大幅に増やし加入対象を拡大した。この他にリバースモーゲージと売却後に再賃貸する「セールスアンドリースバック」(Sales&Lease Back)のような金融商品の活用、療養産業の構造再編、介護保険、信託制度改編を通じた遺言代用信託、事業継承信託などが活性化された点は示唆するところが大きい。特に信託の活性化部門は注目に値する。東京の最も賑やかな地域のデパートの5階に位置し、デパートの営業時間に合わせて運営する三井住友信託の事例は興味深い。
一方、労働力不足と人材確保の重要性増大は企業文化の改善を促進した。成果主義への転換、女性人材育成、副業・兼業の許容など柔軟な労働条件などが代表的だ。育児休職使用督励のための同僚支援金支給のような政策は具体的事例だ。保守的だと思っていた日本の企業文化はすでにグローバルレベルに上がっている
変化した日本、新たな成長エンジンを本格的に稼動
長期低迷で苦しんでいた企業にも、根強い浮揚策と構造改革で資金が回り始めた。大企業を中心にデジタル転換と生産能力拡大のために設備投資が増えている。日本の資本市場も急激な回復傾向を見せている。2025年5月末の日経225合算時価総額は713兆円で、2012年末の199兆円から3.6倍に増大した。
日本の企業金融市場で特記すべき分野は不動産金融と転換金融分野だ。日本の不動産金融生態系が自己資本比率を高め、財務の安定性と効率性を確保したという特徴と東京の成功的な都心再開発事例は、韓国の不動産プロジェクトファイナンス(PF)市場が進む方向を提示する。
また、気候変動対応のための日本の転換金融導入および活性化事例は、韓国金融圏の新しい事業機会創出の可能性を示唆する。日本が製造業の比重と地理的限界により緑色活動だけではカーボンニュートラルの達成が難しいと見て「転換」を核心突破口とした背景、政府の基準用意、金融支援制度、メガバンクの役割など具体的事例は韓国の金融機関が参考にするに値する。
『日本経済大転換』は少子高齢化、生産性鈍化など社会の構造的問題に対して政府・企業・家計などすべての経済主体が共に悩み準備できればという願いから出版することになった。可能な限り現地で直接行ったインタビューなどを通じて、韓国では接しにくい事例を盛り込もうと努力した。この本に盛り込まれた事例は、日本の多様な面の一部に過ぎないかもしれない。今後、さらに広い分野で多様な観点の多くの研究と議論が行われてほしい。低出生・高齢化・低成長という逆らえない大きな流れの中で圧縮成長神話を成し遂げた大韓民国が早く新しい代案を探し、人口消滅危機を克服した世界の模範事例(ベストプラクティス)になることを期待したい。
2025/08/10 11:24
https://japan.hani.co.kr/arti/economy/53921.html