「新型大国関係」と日本の苦境【コラム】

投稿者: | 2025年11月26日

 日本の高市早苗首相の「台湾有事」発言で始まった中国と日本の激しい対立をみて、ふと気づかされる事実は、どこにもない米国の存在感だ。朝日新聞は22日、中国外交部が14日の声明に用いた「奉示」という「異例の言い回し」に着眼し、現時点で強硬対応を主導しているのは最高指導者、すなわち習近平国家主席だろうと推測した。実際に中国外交部がこの日未明に発表した資料を見ると、文章の冒頭に孫衛東副部長が13日に「指示を受けて」(奉示)日本大使を呼び、強く抗議したという内容が含まれている。「奉」は神や両親、あるいは最高指導者のような“偉い人”を敬うという意味を持つ漢字だ。現時点での中国政府の強硬対応を主導する人物が習主席であることを、間接的に示しているのだ。

 これに対し、米国が示す反応は鈍いものにとどまっている。緊張が高まってからかなり経った20日、米国務省のトミー・ピゴット首席副報道官が自身のソーシャルメディア(SNS)を通じて、「尖閣諸島を含む日米同盟と日本防衛に対するわれわれの公約は確かだ」というメッセージを発表するにとどまった。

 米中はなぜ、そのようなことをするのだろうか。習主席は先月30日、釜山(プサン)で米国のドナルド・トランプ大統領と会談し、「中国の発展と貴国の『米国を再び偉大に』(MAGA)は互いに補完的」だと述べ、米中が「互いに助け合う」関係を構築できると強調した。習主席は10年ほど前の2013年6月、当時のバラク・オバマ大統領に「太平洋は二つの大国を受け入れられるほど広い」と述べ、米中が互いの「核心利益」を尊重する、いわゆる「新型大国関係」を構築できると提案した。

 当時、オバマ大統領はこれを拒否し、「アジア再均衡」(Pivot to Asia)という名の対中けん制に乗り出したが、第2次トランプ政権は積極的に受け入れる態度を示している。トランプ大統領は習主席との前回の会談で、台湾については何も言わず、その後は米中を「G2」と呼んでいる。

 さらに驚くべきことは、中国と日本の対立に対してトランプ大統領が示した反応だ。トランプ大統領は10日、「中国の外交官が日本の首相の首を斬るべきだと、ソーシャル・メディアに投稿した」というフォックス・ニュースの質問に「われわれの多くの同盟国は、必ずしも友人というわけではない。同盟国は、貿易で中国よりもっと多くわれわれを利用してきた」と答えた。習主席と24日に電話会談をしたというソーシャル・メディアの発表でも、日本への言及は見当たらなかった。新型大国関係はすでに始まっているのかもしれない。

2025/11/25 18:40
https://japan.hani.co.kr/arti/opinion/54825.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)