【コラム】今年の政治ドラマはやはり「高市」

投稿者: | 2025年11月27日

今年10月21日、日本の内閣制導入から140年目に初の女性首相となった高市早苗首相のこの1カ月間は興味深い政治ドラマだ。高市首相が尊敬する政治家マーガレット・サッチャー英首相が主要人物として登場するネットフリックスドラマ「ザ・クラウン(The Crown)」に劣らない。

「女性安倍」と呼ばれてきたが、高市氏の就任後の動きは安倍晋三前首相の慎重さとは距離があった。一日の睡眠時間が4時間未満の「ワークライフバランス(WLB)放棄女性」の高市氏は一日を二日のように過ごし、アナウンサー出身らしく注目を集めるドラマを演出している。

 政治ドラマ「高市」は日本維新の会と連立政権を構成した少数与党の首相として権力を分ける場面で始まった。高市氏は総裁選挙のライバルを防衛相、総務相、外相に任命し、党内権力基盤を固めた。また、初の女性首相に対する国民の高い期待感を政治的資産とした。就任後の最初の支持率は66%(NHK調査)。小泉純一郎内閣(81%)、鳩山由紀夫内閣(72%)に続いて歴代3番目に高かった。

高い支持率維持は首相職遂行の唯一の動力だ。高市氏はこのために国民が好む政策をすぐに進めた。景気浮揚のための歴代級補正予算案(約17兆円)と減税推進、政治改革のための国会議員定員縮小(10%)がそれだ。また、首相、閣僚・次官、政務官を務める国会議員に歳費とは別に支給する給与の中断を宣言した。むしろ野党代表が「デフレを防ぐために減給合戦はやめるべき」と引き止めたが、関連法案を年内に処理する予定だ。

トランプ政権2期目序盤にイーロン・マスク・テスラCEOが率いた「政府効率化省(DOGE)」と似た組織を作ることにしたのもエピソードの一つだ。米国では竜頭蛇尾で幕を下ろしたが、高市氏は政策効果が低い政府補助金をなくして予算の浪費を減らすという覚悟を固めている。

外交・安保政策の面で高市氏の1カ月間は、米日同盟の強化と台湾をめぐる中国との葛藤に要約される。就任1週間後の10月28日に日本を訪問したトランプ大統領との最初の会談では安倍首相に関する思い出を十分に活用した。横須賀米海軍基地の空母「ジョージ・ワシントン」にトランプ大統領と共に搭乗した高市氏はこのように語った。「6年前にこの同じ場所で、安倍元首相とトランプ氏が、この地域の平和と安全を確かなものにするために協力する決意を示した」と。「日本は根本的に防衛力を強化する」と、トランプ大統領が最も望むメッセージも出した。

興味深い点は李在明(イ・ジェミョン)政権と友好的な関係を結んだことだ。おそらく高市氏の目はすでに中国を眺めていたようだ。韓中と同時にぎこちなく過ごすのは避けたい状況だったのだろう。結果は良かった。初の首脳会談後、李大統領も「今後繰り返し会うのがよい。韓日関係が期待される」と評価した。

ドラマ「高市」シーズン1のクライマックスは始まったばかりだ。高市氏の台湾有事集団的自衛権行使発言編だ。中国の激しい反発を招くのが明らかな状況で、高市氏は日本首相では初めて公開席上でこうした立場を明らかにした。午前3時に出勤して国会での答弁を準備するという高市氏が失言をしたのではないはずだ。

もしかすると成功裏に「安保三文書」と「非核三原則」(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)を改正するために意図的に台湾カードを取り出した可能性がある。中国の脅威が強まるほど日本国民の賛成世論は強まると考えたのかもしれない。実際、発言後も高市氏の支持率は72%(読売)、65%(毎日)と高い。毎日新聞の調査では回答者の25%だけが台湾発言に問題があると評価した。

すべてのドラマには危機がある。「緻密」な高市氏も伏兵にあった。1カ月前の慶州(キョンジュ)首脳会談で米中の葛藤を緩和したトランプ大統領が高市氏を積極的に支持していない点だ。好事家の間では、トランプ大統領が最近、米中をG2(主要2カ国)と呼び始めたが、太平洋を東西に分割して勢力圏を認めようとするのではという声までが出ている。カナダや欧州のように同盟でありながらも理解しがたい理由で「トランプに裏切られる(trumped)」現象が果たして高市氏にも起きるのだろうか。

2012年の尖閣初頭(中国名・釣魚島)国有化事態がそうだったように、中日葛藤は長期戦だ。やはりドラマ「高市」シーズン1の結末とシーズン2のモチーフは台湾をめぐる米中日の銃声のない戦争になるようだ。

チャ・セヒョン/論説委員

2025/11/27 14:28
https://japanese.joins.com/JArticle/341548

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