福島原発事故から15年…世界最大級の柏崎刈羽原発の再稼働を巡り何が起きているのか

投稿者: | 2026年3月11日

 「海を汚すなよ、水に流すなよ、私は恥ずかしい」

 6日夜、東京都千代田区の高市早苗首相官邸前の路上で、哀愁ただよう歌声が聞こえてきた。市民団体による「柏崎刈羽原発動かすな首相官邸前抗議行動」の集会に参加した30人余りが「未来を奪うなよ/私は恥ずかしい/私の故郷なのに/私は恥ずかしい」と声を重ねるにつれ、響きはさらに大きくなった。服の襟元にマイクを挿してアコースティックギターを手に歌っていた市民は「福島は終わっていません、福島を忘れてはいけません、福島を許してはいけません、繰り返してはなりません」と訴えた。彼らのプラカードには「私たちに原発は必要ない」「核のゴミを捨てる場所はない」と書かれた日本語の文言だけでなく、「脱原発」と書かれた韓国語も目を引いた。

 彼らは、2011年の東日本大震災の余波で稼働停止していた世界最大規模の柏崎刈羽原発の再稼働を糾弾した。陶芸の仕事をしていたと名乗る市民は「11日で東京電力福島第一原発が事故を起こしてから15年になる。当時6~16歳だった400人以上の子どもたちが、甲状腺がんを発症し、手術し、再発している」とし「何も解決されていない。柏崎刈羽原発は今からでも止めるべきだ」と批判した。

 11日で東日本大震災から15年。当時、宮城県沖130キロメートル地点で発生したマグニチュード9.0の地震により、死者1万5900人余り、行方不明者2500人余りなど計1万8500人が犠牲となった。日本史上最大級の地震とともに、日本社会を根本から揺るがしたのは、津波の余波で福島原発の一部が爆発した事故だった。最悪の事態はかろうじて回避されたものの、原発から半径30キロ圏内には放射能汚染で人が住めない「帰還困難区域」があちこちに残った。日本政府は「原発ゼロ」政策を導入し、一時すべての原発を停止させた。2014年にはエネルギー基本計画に「震災前に描いてきたエネルギー戦略は白紙から見直し、原発依存度を可能な限り低減する」と明記した。

 しかし、時間は人々の記憶を薄れさせ、日本政府は「原発最大限活用」へ方針を完全に転換した。昨年2月、日本政府はエネルギー基本計画から「原発依存度を低減する」という文言を削除し、「積極的な原発回帰」を公式に宣言した。

 日本の市民社会が柏崎刈羽原発を特に注目するのは、福島原発事故に責任がある東京電力が運営する原発だからだ。柏崎刈羽原発は東日本大震災以降、他の原発とともに稼働停止していたが、今月18日に6号機が営業運転開始を控えている。先月24日に再稼働した6号機はすでに100%の発電出力である135万6千キロワット(kW)に達し、営業運転の準備を整えた。福島原発事故後、東電が初めて再稼働する原子炉となる。

 日本の原子力規制委員会のウェブサイトによると、日本全国で稼働可能な原子炉33基のうち、柏崎刈羽原発6号機を含め10基が再稼働している。23基は停止状態。福島第一原発の原子炉6基は全て完全に閉鎖され、別の原子炉17基は閉鎖措置が行われている。これとは別に、島根県などに新たに建設中の原発も3基ある。

 柏崎刈羽原発は1985年に1号機が導入された後、7号機体制を整えた。総出力821万2千kWで、単一原発としては世界最大規模。今回再稼働する6号機は1996年に営業運転を開始した改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)だ。

 日本政府が批判を覚悟で東電の原発稼働を承認したのは、「積極的な原発活用」政策へと本格的に転換する意思と読み取れる。日本政府はエネルギー種別の需給電力における原発の割合を、2024年の8.5%から2030年までに20~22%に引き上げる計画。柏崎刈羽原発がその先頭に立つとみられる。東電側は5日の記者会見で「安全最優先で(…)不具合が発生すれば、関係者で議論して一つ一つ慎重に進める」と述べた。

 しかし「福島トラウマ」が依然残る日本社会は、東電の原発再稼働に対する不信感を隠さずにいる。特に柏崎刈羽原発は2021年に発電所の社員が中央制御室に無断で入ったことで「脆弱な防護体制」の批判を招いたほか、警報装置の誤作動、悪天候の監視態勢不備などで度々問題を起こしてきた。今回の再稼働を控えても、原子炉の制御棒の破損をはじめ、わずか1カ月前にも原子炉圧力容器の中性子測定装置の故障による運転停止など、事故が相次いでいる。1月には中部電力が、静岡県の浜岡原発の再稼働許可を得るために地震安全関連データを改ざんして原子力規制委員会に提出した事実が発覚。これらの事件と相まって柏崎刈羽原発再稼働への不安が増している。しかも静岡県は、100~150年ほどの間隔でマグニチュード8~9の地震が繰り返される「南海トラフ巨大地震」が発生してきた地域だ。使用済み核燃料がすでに飽和状態に近い柏崎刈羽原発で6号機が本格稼働したら、これを処理する手段がないという指摘も多い。

 東電が福島原発事故の収拾過程で負った「負債」を清算するために、強引に再稼働を推進していることも論争の的となっている。実際、福島原発事故の収拾費用としては、賠償9兆2000億円、廃炉8兆円、除染4兆円など、総額23兆4000億円が見込まれており、東電が負担する分だけでも約16兆円と推定される。現在、東電は火力発電所を稼働させて持ちこたえているが、原発の再稼働なしでは収支を合わせられない状況だ。東電では「銀行から借りられる資金の限度額も超えた」という発言が公然と出ている。最近、人工知能(AI)関連の需要が爆発的に増加し、エネルギー供給に苦心する日本政府との利害が一致したという見方が出ている。また、東京など首都圏で使用するエネルギーを供給するために地方都市が原発リスクを負担する、いわゆる「犠牲のシステム」問題も未解決の課題として残っている。

 日本社会において原発再稼働は依然として大きな議論となる問題だ。先月14~15日に実施された朝日新聞の世論調査では、「原発再稼働に賛成」との意見が51%(反対35%)だった。賛成の割合は2022年までは20~30%台で推移していたが、2023年に半数を超えた後、同様の傾向が続いている。一方、日本の市民社会による脱原発の要求も止まっていない。7日に東京の代々木公園で開催された「さようなら原発1000万人アクション」主催の「とめよう原発3・7全国集会」では、こうした雰囲気を垣間見ることができた。長谷川公一・盛岡大学学長(市民団体「原子力資料情報室」理事)は集会で「福島原発事故は災厄であり、東電と日本政府が引き起こした犯罪だ」と指摘し、「これを忘れないことが日本社会と東アジア、さらに地球の未来世代の平和と安全、命と暮らしを守ること」だと強調した。「柏崎刈羽原発再稼働の是非を考える新潟県民ネットワーク」で活動する佐々木かんなさんは「柏崎刈羽原発の再稼働の過程で住民の意思は完全に無視されている」とし「原発を止めるということは、原発がいらない社会、誰にも原発の被害を転嫁しない社会を作ることだ」と強調した。2011年から毎年全国規模で開かれるこの日の行事には、市民8500人余りが参加した。

2026/03/09 22:45
https://japan.hani.co.kr/arti/international/55648.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)