イスラエルのネタニヤフ首相がイランの核・ミサイル能力を事実上除去したと宣言しつつ、戦争の早期終結の可能性を示唆した。これを受け国際原油価格の急騰は一息つき、株式市場も下落幅を一部回復した。
ネタニヤフ首相は19日(現地時間)の記者会見で、「20日間の米・イスラエルによる空爆後、イランはもはやウランを濃縮できず、弾道ミサイルを生産する能力もない」と述べた。続けて「我々は勝利しつつあり、イランは徹底的に破壊されつつある」として、「現在の攻撃はミサイルと核兵器の生産を可能にする産業基盤の除去に焦点が合わせられている」と説明した。
この発言は、今回の戦争の中心目標だった「イランの核兵器開発の阻止」が達成されたとの趣旨で、早期終戦の大義名分を示したものと解釈される。実際にネタニヤフ首相は「戦争は人々が考えているよりもはるかに早く終わる可能性がある」と語っている。
ネタニヤフ発言に、金融市場は素早く反応した。戦争の長期化の懸念から一時は1バレル当たり119ドルにまで高騰していた国際原油価格は下落に転じ、米国株式市場は取引中に下落幅をかなり回復した。
しかしネタニヤフ首相は、自らの発言を裏付ける具体的な証拠は示さなかった。とりわけ過去の空爆で地下に埋没した高濃縮ウランの備蓄分などの残存する核物質は、存在が依然として不透明だ。ダン・ケイン米統合参謀本部議長が同日に「イランは依然として一部の(ミサイル)能力を保持している」と述べてネタニヤフ首相との見解の違いを示したことも、論争の的となっている。
しかしネタニヤフ首相は同じ記者会見で「空中戦だけでは不十分。地上の要素が必要だ」と述べ、戦争をさらに続ける可能性があるというメッセージも発している。「革命は空中からだけでは成し遂げられない」、「様々な可能性があるが、現時点では明らかにしない」というのだ。ネタニヤフ首相は「イラン国民は適切な時期に立ち上がるべきだ」と述べ、今回の戦争は単なる軍事攻撃にとどまらず政権転換の環境を整えるという目標もあることを示唆した。一方、トランプ大統領は同日、「どこにも地上軍は送らない」と述べ、米国とイスラエルで戦争の目標が異なる可能性を示唆した。実際に、ギャバード国家情報長官(DNI)は同日の下院情報委員会の公聴会で、「トランプ大統領の目標はイスラエル政府の目標とは異なる」と証言している。ギャバードDNIによると、イスラエルはイラン指導部の除去に集中している一方で、米国の目標は弾道ミサイル能力と海軍力の破壊に集中している。中央情報局(CIA)のラトクリフ長官も「大統領の目標には政権転換は含まれていない。このことはイスラエルの目標とは異なりうる」と認めている。
ネタニヤフ首相は、イスラエルが米国を戦争に巻き込んだという疑惑を「フェイクニュース」だとして一蹴しつつ、両国の緊密な協力を強調した。「誰かがトランプ大統領に何をしろと指示できると思うか」、「トランプは米国の利益にもとづいて自ら判断する人物」だと述べた。また、トランプ大統領の要請を受け入れ、イラン最大のガス田(サウスパース)へのさらなる攻撃の中止を決めたと明らかにした。この攻撃後、イランがカタールの液化天然ガス(LNG)施設を攻撃したことで、エネルギー市場は大きく動揺。拡大抑止の観点からの措置だと解釈される。
ネタニヤフ首相は、イラン政権の内部に「深刻な分裂」が生じていると主張しつつ、権力構造が不透明になっていると評した。イランの最高指導者の後継者に指名されたモジタバ・ハメネイ師については、「現在、姿を現していない」と述べた。ただしネタニヤフ首相は、実際にイランの政権転換につながるかどうかについては「現時点で判断するのは時期尚早だ」と述べ、慎重な姿勢を示した。このことについて米国のベッセント財務長官はこの日、ホワイトハウスで行われたトランプ大統領と日本の高市首相との会談の場で、「あらゆるレベルで離脱が目撃されている」として、「イラン政権は内部から自壊する可能性が高い」と語った。同氏は「財務省はイラン指導部が海外に隠した資金の流れを把握している。それを回収してイラン国民に返還する」と述べた。ギャバードDNIも下院の公聴会で、「モジタバはイスラエルの空爆で非常に深刻な傷を負った」として、「イラン指導部内の意思決定は不透明になっている」と証言した。
2026/03/20 06:28
https://japan.hani.co.kr/arti/international/55723.html