ソウルで初めて猛暑重大警報が発表された2026年8月4日、企業や公共機関のオフィスが密集するソウル中区(チュング)一帯の街頭を通り過ぎる人々は、日傘をさしたり、シェードの下に入ったりして真昼の日差しを避けようとしていた。予想を超える猛暑に戸惑う外国人観光客も例外ではない。横断歩道の前の公共シェードの下で数分のあいだ信号待ちをする人々の手には、冷たい飲み物やミネラルウォーター、ハンディーファンなどが握られていた。市内の至る所に設置されているスマートシェルターも、涼を求める人々でいっぱいだ。
猛暑が都心を襲った7月31日から8月9日にかけて開放された清渓川(チョンゲチョン)を訪れた市民や外国人は、水辺に腰掛けて足を水に浸しながら休んだり、すそをまくり上げて水に入ったり。水の中を歩く親子、夫婦、恋人たちは、誰かが転ぶのが心配で手をつないだままだ。
気候危機と都市化が重なり、世界の大都市ではヒートアイランド現象が深刻化している。2022年に衛星から観測された世界の2000あまりの都市の地表温度を分析した研究によると、2002年から2021年にかけての都市圏の地表の温暖化スピードは10年間で0.5度で、周辺の農村より29%ほど速い。ヒートアイランドの強まりの幅も年々拡大しており、低所得・中所得国の都市で顕著だ。
ヒートアイランド現象は都市化と産業化による人口の集中、緑地面積の減少、大気汚染、交通量およびエネルギー使用量の増加などが複合的に作用して起こる。アスファルトやコンクリートなどは熱容量が大きく反射率が低いため、太陽輻射をより多く吸収・蓄積し、夜間放出につながる。密集する高層の建物のエアコンの室外機から放出される熱も加わり、水銀柱を押し上げる。
国連の2025年の都市統計による世界で最も人口が多い都市で第3位(約3659万人)のインドのデリーは、ヒートアイランドが最もひといと分析されている。温帯気候地域では、約3341万人が住む日本の東京、中国の北京(約2189万人)、上海(約2956万人)の順でヒートアイランドがひどい。国連のこの人口集計は行政区域上の分類ではなく、周辺の連続する都市化地域を含むものだ。
この分類によれば、ソウルは人口約2249万人で世界10位。人口が密集する大都市のヒートアイランド現象のひどさを示すかのように、8月7日午後3時28分にソウル蘆原区(ノウォング)の最高気温は40.2度を記録した。
大韓空間情報学会が2016から2020年にかけてのランドサット8号の衛星画像を分析したところ、ソウルの地表面温度は京畿道加平(カピョン)より平均3.59度高く、5度以上高い場所もあった。ヒートアイランドはソウルの中区、鍾路区(チョンノグ)、龍山区(ヨンサング)、永登浦区(ヨンドゥンポグ)に集中していた。
東京都心の2026年7月の猛暑日(35度以上)は9日で、20年前の2006年の2日から7日増えてる。上海は8月2日に38度、北京は8月5日に36度となり、高温警報が出された。
欧州でも多くの大都市が猛暑に苦しめられた。8月3日には英国のロンドンとイングランド南東部の気温が35度にまで上昇し、健康安全保障庁(UKHSA)が猛暑健康警報を発表。8月第2週にはロンドン、フランスのパリ、イタリアのローマが30度台中ばから後半、スペインのマドリードは40度に達するとの予報が出ている。エアコンの普及率が低く高齢者が多い欧州では、今年の夏の猛暑関連の死者は数千人に達すると推定されている。
北米も例外ではない。6月末に始まったヒートドームでニューヨークの気温が38度に迫ったことを受け、マムダニ市長は冷房シェルターを稼働させる猛暑非常計画を発動。7月4日には首都ワシントンが39.4度を記録し、独立250周年記念パレードが中止された。
30度台後半の猛暑がニューノーマルになる時代、大都市のど真ん中で暮らす人々はそれなりの適応力を示す。ソウルの一部地域で気温が39度を超えた8月5日の昼食時、中区の南大門市場(ナムデムンシジャン)のある食堂の前では、照り付ける日差しの下で人々が列を作っていた。蒸気を噴き出し続ける蒸し器の前に、味で評判のマンドゥを買い求める人々が並んでいたのだ。外国人も不思議そうにのぞき込んでいる。熱を以て熱を治むの何たるかを国内外に身をもって示していたわけだ。
2026/08/13 22:33
https://japan.hani.co.kr/arti/h21/56948.html