陸上女子で初めてアジア大会の金メダルを獲得した韓国選手は、砲丸投げの白玉子(ペク・オクチャ)だ。1974年のテヘラン大会で2連覇を達成した後、彼女はこう語った。「この金メダルで、祖国におられる国民の皆さんに少しでも喜びを差し上げられるなら、今死んでも悔いはありません」。同じ年、WBAバンタム級世界王者になった洪秀煥(ホン・スファン)は、母親の返事の方が有名になった。「母さん、僕チャンピオンになったよ」という息子の声に、電話の向こうの祖国の母は叫んだ。「そうか! 大韓国民、万歳だ」
半世紀前の貧しかった時代、父や祖父の「昔はなあ」という話じゃないのか、と思うだろうか。2020年東京五輪でアーチェリー2冠に輝いた金済徳(キム・ジェドク)は、初の金メダルを獲得した時、太極旗に向かって挙手の敬礼をした。記者たちが「兵役特例」について感想を尋ねると、当時高校2年生だった彼はこう答えた。「それについて深く考えたことはありません。それよりも、太極旗を一番高い場所に掲げられてうれしく、光栄です」
今回問題になったアジア大会サッカー男子韓国代表の選手3人は、いずれも当時の金済徳より年上だ。決勝で日本を破り4連覇を達成したという韓国国民の喜びは、すぐに苦々しさへと変わった。彼らのインタビューが、分別のない兵役免除の自慢大会に変わったからだ。「兵役免除という報酬だけを見て走った」という危うい告白が出たかと思うと、「僕、軍隊に行きません!」という歓声まで飛び出した。しまいには、観客席から投げ込まれた予備役の除隊帽(予備軍転役帽)をかぶり、敬礼ポーズを取った写真までソーシャルメディアを埋め尽くした。
金メダルを取れば兵役特例が与えられる。制度そのものをなくせという批判は強いが、今のところ、そうなっている。しかしその特例は、勝者が持ち帰る戦利品ではなく、青春をささげて国防の義務を果たしている同世代の若者たちの理解と配慮によって設けられた特権だ。現役入営通知書を手に入隊を待っているか、練兵場で訓練を受けているであろう20代の若者たちがこの場面を見て感じたむなしさを、あえて説明する必要があるだろうか。
国家代表の品格は、無理に絞り出した厳粛さではなく、自分の言動が他人に及ぼす影響を推し量る最低限の共感能力から生まれる。胸の太極マークは、特典を得るための無料チケットではない。今、この「分別のない国家代表」たちに必要なのは予備役の除隊帽ではなく、自らの言葉を振り返る成熟だ。2008年北京五輪の競泳男子400メートルで金メダルを獲得した時、高校を卒業したばかりの朴泰桓(パク・テファン)はこう語った。「韓国の水泳も世界の頂点に立てるということを見せたかった。大韓民国の人間であることを誇りに思います」
2026/10/07 07:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2026/10/06/2026100680124.html