東海岸最北端の江原道高城郡(カンウォンド・コソングン)に住むユン・ジェジュンさん(54)は、昨夜、エアコンをつけっぱなしにして寝た。29日、高城の朝の最低気温が30.6度を記録するほど、一晩中30度以下に気温が下がらなかったためだ。ユンさんは「夜中にも窓を開けると熱い風が入ってくる」として「最近は24時間ずっとエアコンをつけているので、エアコンなしで寝るのは想像もできない」と話した。
気象庁によると、江原道東海岸の所々で28日夜の間に30度以下に気温が下がらない「超熱帯夜」が現れた。超熱帯夜は夜の間の最低気温(午後6時~翌日午前9時)が30度を下回っていない現象をいう。江原道束草(カンウォンド・ソクチョ)は最低気温30.7度、高城30.6度、襄陽(ヤンヤン)30.5度、江陵(カンヌン)30.3度を記録した。7月に超熱帯夜が現れたのは、気象庁の観測以来初めてだ。
江陵市中央市場の近くで冷麺屋を経営しているキムさん(55)は、「昼と夜を問わず猛暑が襲ってきて大変だ」と訴えた。キムさんは「昨年までは部屋が涼しくなればエアコンを消して眠りについたが、今年は少しでも消せば暑さで眠れない」として「昼には冷麺を茹でる釜の前で体感40度の暑さで倒れそうだ」と話した。
日本ではかなり前から「超熱帯夜」という気象用語を使っていたが、韓国は夜間に最低気温が30度以上を記録した日がなく、超熱帯夜という言葉を使わなかった。だが、2013年8月8日江原道江陵で初めて超熱帯夜を体験し、今年は7月中に初めて超熱帯夜が江原の様々な地域に同時に現れた。
ソウルでも同日まで25度以下に気温が下がらない熱帯夜が8日連続で現れるなど、眠れない夜が続いた。気象庁のウ・ジンギュ気象予報士は「全国的に熱帯夜が現れた中、南風が太白(テベク)山脈を超えて気温が上がる昇温効果が現れ、東海岸地域は夜の間に熱帯夜がさらに激しかった」と説明した。
熱帯夜は通常、7月より8月に多い。しかし、気候変動の影響で7月にも熱帯夜が頻繁になる傾向だ。この10年間(2014~2023年)、7月に現れた全国熱帯夜日数は平均3.6日で、10年前(2004~2013年、2.6日)より41%ほど増加した。
今年7月にも28日まで全国平均7日の熱帯夜が現れたが、歴代級猛暑が訪れた1994年と2018年の熱帯夜の日数と似た水準だ。ソウルも7月だけで10日の熱帯夜を記録し、平年(4.8日)の2倍を上回った。
今年の熱帯夜は、深刻な猛暑が現れた1994年と2018年とは異なる様相を見せるというのが専門家の見方だ。かつての熱帯夜は昼間に深刻な猛暑による輻射熱が夜も冷めないまま現れたとすれば、今年は夏場に頻繁になった低気圧の韓半島(朝鮮半島)への流入で南風が加わった結果だという分析だ。
釜山(プサン)大学地球環境システム学部のハ・ギョンジャ教授は「今年7月の熱帯夜は最近夜間に豪雨が多かったことと関係がある」とし「韓国東南側に高気圧(北太平洋高気圧)があり、陸地に低気圧がある時に南風が入ってくる条件が形成されるが、このように入ってきた南風が大雨に発展しなければ熱帯夜を深化させる」と説明した。
実際、1994年と2018年には、今年より猛暑がはるかに多かった。7月の全国平均猛暑日数は1994年17.7日、2018年15.4日で、今年(3日)より5倍以上多かった。反面、7月の熱帯夜日数は1994年8.5日、2018年7.1日、今年7日と似ている。 熱帯夜が今月末まで続けば、史上最高値の1994年の記録を更新する可能性もある。
気象庁は当分の間、熱帯夜が続くものと予想した。全国のほとんどの地域の夜間の予想最低気温が熱帯夜基準を超えると予測されるためだ。ソウルも来月8日までの夜の間、最低気温が26度前後にとどまるものと予想される。昼間にも南部地域を中心に最高36度まで気温が上がる見通しだ。
さらに、梅雨まで終了すれば、猛暑の勢いがさらに強くなり、熱帯夜も続くものとみられる。ウ予報士は「現在、韓国が北太平洋高気圧の端に位置しているが、端の位置がどのように変わるかによって8月1~2日に降水位置と強度が変わり、梅雨が終了する可能性もある」と話した。
2024/07/30 07:12
https://japanese.joins.com/JArticle/321736