正恩氏はボートに乗って水害地域を回ったが…「北朝鮮幹部が一挙に処刑したようだ」

投稿者: | 2024年9月5日

韓国国家情報院(国情院)が4日、北朝鮮で今年7月末に北部国境地域一帯で発生した水害の責任を問い、多数の幹部を処刑した動向があり、注視していることを明らかにした。処刑された幹部の中には、被害が深刻な慈江道(チャガンド)の労働党責任秘書の姜峯訓(カン・ボンフン)氏が含まれている可能性が高いという。
 先立って北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は7月29~30日、洪水と大雨で大きな被害を受けた平安北道新義州市(ピョンアンブクド・シンウィジュシ)で行われた労働党中央委員会第8期第22回政治局非常拡大会議で、韓国の警察庁長にあたる社会安全相と平安北道・慈江道の党責任秘書を更迭した。これは、金委員長が前日7月28日、新義州市と新義州郡の被害現場を視察し、「災難を招いた国家機関と地方幹部の職務怠慢」を厳しく叱責し、彼らに責任を問うと暗示した翌日に断行した人事だった。

このため、責任幹部らへの苛酷な処罰が予想されたが、国情院は処刑まで行われた可能性があると見ている。幹部を一挙に処刑したことが事実であれば、水害による民心離れなどを憂慮し、金委員長が責任を問うための極端な措置を取ったという解釈が可能だ。

また、情報当局は今回の水害で北朝鮮で相当な人命被害が発生した可能性に重きを置いて、関連動向を綿密に注視している。国情院は先月26日に開かれた国会情報委員会の報告で、北朝鮮の水害に関して「実際的に物的被害が多いところは慈江道と分析される」とし、「実質的に被害が多く発生した慈江道について一切言及と外部露出がない。非常に興味深く独特だ」と評した。

一方、北朝鮮が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「8・15統一ドクトリン」提案に無反応で一貫しているのは、金委員長が出した「敵対的二つの国家論」を裏付ける論理が不十分なためだという分析が出た。

民主平和統一諮問会議(民主平統)の太永浩(テ・ヨンホ)事務処長は同日午前、ソウル中区(チュング)の民主平統事務処で開かれた記者懇談会で、「北朝鮮内部でも二つの国家論に対する内部理論が完成されていないと思う」とし、「尹大統領が統一の話題を投げかけたことに対して、北朝鮮が反論するのは容易ではなく、党内部で理論を体系化する準備がまだできていないようだ」と評した。

これに関し、太永浩事務処長は、北朝鮮が在日親北朝鮮団体の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)にも「二国論」に関して明確な指針を与えていないという伝言を公開した。

彼は「先日、北朝鮮から朝鮮総連に送った(敵対的二つの国家論に関する)指針書を見た朝鮮総連の元老たちが朝鮮総連中央委員会に『どうしてこのように統一から手を放すことができるのか』という質問を送ったが、『平壌(ピョンヤン)から政策方向的説明文が来なかったため、現時点では指針書をそのまま受け入れるように』という立場を伝達されたという」と話した。また、「二つの国家論を話題にしたが、細部計画も内部資料もなく、海外に送る追加的解説集もないことを見れば、理論的整理が終わっていない」と付け加えた。

また、太永浩事務処長は、「北朝鮮のエリートたちが韓国との体制競争で負けたという敗北意識に陥っている」という一部の指摘に対する説明も出した。「2009年当時、北朝鮮内の経済研究所関係者に南北間の経済格差を尋ねたところ、120対1水準と見ていた」とし、「労働新聞では敗北主義に陥るなと主張しながらも、内部的に統一されれば、北朝鮮住民が韓国資本の奴隷になると考える傾向がある」と述べた。

また、「中国・ロシアと直接つながる地理的特性や少子化によって不足している人材を北朝鮮が提供すれば、統一後の経済的便益が生じ、北朝鮮住民の生活にも役立つという点を知らせれば(北朝鮮でも)統一に対する夢を育てることができる」と述べた。

元駐英北朝鮮大使館公使の太永浩氏は今年7月、平和・統一達成のための政策を大統領に建議する諮問機構である民主平統事務処長(次官級)に任命された。脱北民出身で次官級任命職に抜擢されたのは太永浩氏が初めて。

2024/09/05 09:57
https://japanese.joins.com/JArticle/323324

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