韓国企業は2022年のCHIPS法とインフレ抑制法施行後に補助金と税額控除の優遇を得るため米国に天文学的な金額を投資して工場を作った。米中間の緊張の高まりが続く世界的な情勢変化も韓国の対米投資が増えた要因だ。韓国輸出入銀行によると、二次電池の米国直接投資は2020年の4億4900万ドルから昨年は37億9900万ドルと約8.5倍に増加した。メモリー半導体は同じ期間に3000万ドルから23億4000万ドルに78倍急増した。
このように多くの投資をしても韓国財界では米大統領選挙後の状況を懸念する声が大きい。対米投資を拡大しただけに大統領選挙結果にともなう変数に敏感にならざるを得ないが、米国の政策策定過程に韓国の利益が反映されていないと指摘される。現在のバイデン政権は中国製電気自動車の関税を100%に引き上げ、反ダンピング・相殺関税など輸入規制措置を強化している。トランプ前大統領はすべての輸入品に10~20%の関税を課す普遍関税を公約に掲げた。財界関係者は「韓国が中国の迂回輸出経由地と判断されれば韓国製品まで影響を受ける恐れがある。普遍関税の場合、韓国は米国のいくつもない自由貿易協定(FTA)締結国なので例外にするなどの代案を貫徹しなければならない」と話す。特にバッテリー産業はトランプ前大統領当選時にインフレ抑制法の恩恵縮小を懸念する。電気自動車の一時的需要停滞により、まだ成長潜在力が大きい米国市場への進出が重要だが、税額控除の恩恵が減れば既存の投資計画を調整するほかないためだ。
専門家らは中長期的ネットワーク形成と状況変動時の細かい対応戦略が必要だと強調した。慶熙(キョンヒ)大学政治外交学科のソ・ジョンゴン教授は「韓国企業は米国内部の状況把握と、だれに会えば問題が解決されるのかなどの情報把握能力がまだ高くない。米国政府は現地生産で経済安全保障を強化しているが、その重要なパートナーが韓国企業になった点を活用する案を考えなければならない」と強調した。続けて「投資とともに政治的・政策的状況変化時に脅しをかける戦略も組んでおかなければならない」と話した。西江(ソガン)大学国際大学院のホ・ユン教授は「選挙前後の短期的な接触やイベントよりは米国内のオピニオンリーダーを中心に中長期ネットワーキングが重要だ。日本企業は米国の主要シンクタンクに相当に多くの金額を着実に寄付している」と話した。
韓国が米国内ロビー活動では「アマチュア」なため慎重な接近が必要という指摘もある。明知(ミョンジ)大学国際通商学科のキム・テファン教授は「韓国政府と企業は米国のロビー文化が体得できておらず、単純にお金だけでアプローチしてはならない。多次元的なシナリオを考慮しなければならない」とした。ソウル大学経済学部のパク・チヒョン教授は「韓国が持っている財源が限定的なので韓国企業が多く投資したジョージア州が激戦州である点を活用するなど世論戦にも選択と集中が必要だ」と話した。
2024/09/26 08:28
https://japanese.joins.com/JArticle/324181