ただ今回の立場は「韓首相と韓代表が常時的疎通を通じ経済・外交・国防など国政懸案を議論するとしたことに対する米国政府の立場は何か」など、共同国政運営体制に対する米政府の立場を確認するのに焦点が合わされた。それでも米国が「憲法に基づく民主主義作動」を繰り返し促したのは、共同国政運営体制が違憲議論から自由でないとの認識が反映されたと解釈する余地がある。
他国の国内政治状況に対しては言及自体を控えるのが外交的慣例である点から米国の反応は注目すべきだ。実際に在韓中国大使館は共同国政運営体制に対する中国の立場を聞く中央日報の質疑に9日、「韓国の内政に対しては評価しない」と答えた。在韓日本大使館もこの日、「他国の内政に対するコメントは控える」と答えた。これに対し米国は戒厳局面で「ひどく誤った判断」「深刻な違法」など強度が高い批判を繰り返してきた。
米国がこのように一連の状況を批判的に受け止めているのは、今回の戒厳が民主主義の価値を脅かす試みだったとの認識によるものとみられる。
だが根本的には軍を実際に動かした尹大統領の独断的決定が韓米連合防衛態勢に及ぼしかねない悪影響を米国はより深刻にみたものだとある消息筋は説明した。彼は「戒厳を口実に北朝鮮の挑発や中国の攻勢的威嚇がなされたとすれば、これはそのまま在韓米軍に対する脅威増強要素になる。米国としては在韓米軍とその家族、韓国在住自国民の生命と安全に直結する事案となるが、これを決定しながら韓国が一言の言質もなかった点を重くみているもの」と伝えた。
実際に戒厳宣布前後で韓国に対する米国の態度は温度差が大きいと関連消息筋は伝えた。米国は戒厳直後に韓米核協議グループ(NCG)会議と図上演習を無期限で延期し、オースティン米国防長官は韓日をともに訪問しようとしていた当初の日程を変え日本だけ訪問した。第2次トランプ政権に本格的に備えなければならないタイミングでむしろ外交資産が損なわれ打撃を受けているという懸念も提起される。
チョン・ソンフン元統一研究院長は「韓国内部の整理が速やかに進まなければ北朝鮮が誤判断する恐れもあり、場合によっては在韓米軍が介入することになるため米国も懸念するもの」と指摘した。
西江(ソガン)大学国際大学院のキム・ジェチョン教授は「これまで力を入れて復元した韓米同盟と韓米日協力イニシアチブが荒波に巻き込まれかねず米国としても当惑するのは事実だろう」としながらも「ただ今回の戒厳事態は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の個人的な逸脱で発生したもので、米国も不快感をそのまま示すよりは韓国の唯一の同盟として国内政治状況が円滑に回復することを慎重に待たなければならない」と話した。
2024/12/10 07:47
https://japanese.joins.com/JArticle/327205