人工知能(AI)時代にデータセンターは国家保安施設と比肩される。AIに依存すればするほど、わずかな時間でも電気が止まれば影響は一波万波に大きくなりかねない。高い電力を安定的に消化できる超高圧変圧器が注目される理由だ。超高圧変圧器は発電所で作った電力を遠方まで効率的に送るために電圧を高水準に変換する装置だ。
HD現代グループの電力機器系列会社であるHD現代(ヒョンデ)エレクトリックが24~27日に米ダラスで開かれる北米最大規模の送配電・エネルギー見本市「ディストリビューテック2025」で過電圧防止技術を適用した国産超高圧変圧器を初めて公開する。HD現代関係者は「北米市場の需要増加に対応し韓国の電力機器企業で初めて見本市に参加した。安全とセキュリティなどの側面で一段階高い技術を要求する市場で検証を受けたい」と話した。
一般人にはなじみがうすい電力機器会社、「○○エレクトリック」の進撃が鋭い。HD現代エレクトリックとLSエレクトリック、そして暁星(ヒョソン)重工業が韓国ビッグスリーの電力機器企業だ。LS電線と大韓電線などがAIブームによる韓国の電力網好況の1次受益企業(電線)に挙げられたとすれば、ビッグスリーは2次受益企業(電力機器)といえる。韓国貿易協会国際貿易通商研究院のチャン・サンシク院長は「造船・防衛産業に続き電力機器がトランプ時代に韓国製造業の未来の収益源のひとつに浮上した」と分析した。
実際にビッグスリーは昨年HD現代エレクトリックが営業利益6690億ウォン(約687億円)、LSエレクトリックが3897億ウォン、暁星重工業が3625億ウォンといずれも過去最高の実績を記録した。LSエレクトリックは最近もグーグル、マイクロソフト、アマゾン、メタのような米ビッグテック企業のうち1社と1625億ウォン規模の電力・配電システムの販売・供給契約を結んだ。LSエレクトリックの具滋均(ク・ジャギュン)会長は5日、韓国最大のバッテリー産業見本市「インターバッテリー」に参加し、「今年は変圧器、配電盤、エネルギー貯蔵装置(ESS)などの売り上げが米国だけで1兆ウォンに達するだろう。品質が良く、価格も悪くなく、納期が早く競争力がある」と自信を見せた。
電力機器市場の好況はAIという「メガトレンド」のためだ。ビッグテックの天文学的なAI投資、データセンター拡充基調が電力インフラ需要急増につながる見通しだ。世界的市場調査会社ガートナーによると、今年の世界のデータセンター投資規模は3670億ドルに達する見通しだ。
ここに米国と欧州の老朽化した電力網の交換時期まで合わさった。米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)は2050年までに変圧器供給を2021年より160~260%増やさなければならないと予想する。
「スーパーサイクル」を迎えたビッグスリーは工場増設を繰り返している。現代HDエレクトリックは2026年までに米アラバマ第2工場と蔚山(ウルサン)工場増設に4000億ウォンを投資する。研究開発投資も1年前より30%増やすことにした。LSエレクトリックは昨年超高圧変圧器生産増設に1600億ウォンを投資した。2026年までに生産能力をこれまでの年2000億ウォンから7000億ウォン規模に拡大する予定だ。暁星重工業は米テネシー州と昌原(チャンウォン)の工場を増設し超高圧変圧器生産能力を現在の1.4倍に増やす。
世界的な競争も本格化した。米国のデルタスター、ペンシルベニア・トランスフォーマー、バージニア・ジョージア・トランスフォーマー、日本の日立エネルギー、三菱エレクトリック、東芝、ドイツのシーメンス・エネルギーのような世界大手も米国に生産施設投資を増やす傾向だ。新韓投資証券のイ・ドンホン研究員は「韓国企業は米国市場でビッグテック事業を受注するなど技術力を備えている」と予想する。「研究開発投資で品質を引き上げ、生産規模を増やすことで勝負が分かれるだろう」と話した。
2025/03/25 08:35
https://japanese.joins.com/JArticle/331649