韓国の家計負債が3年半ぶりにGDP下回る…延滞率は急騰

投稿者: | 2024年5月10日

 第1四半期の韓国の家計負債規模が、3年半ぶりに国内総生産(GDP)を下回った。コロナ禍時に流動性が高まったことで資産市場が刺激されて家計負債が急増していたが、2021年以降は高金利基調が続いたことで多少規模が縮小したもの。ただし国際比較では、家計負債比率は調査対象(34カ国)中で依然として最も高い水準だった。

 9日に国際金融協会(IIF)が公開した「世界債務報告書(Global Debt Monitor)」によると、今年第1四半期の韓国のGDPに対する家計負債残高の比率は98.9%だった。韓国の家計負債比率は2020年第3四半期に100.5%を記録し、国の経済規模を超えた。2022年第1四半期には105.5%でピークを記録。このたび3年半ぶりに100%を下回った。2021年下半期の政策金利引き上げから高金利基調が続いていることで、家計負債のバブルが多少はじけた格好だ。家計負債比率100%は、通貨・金融当局の家計負債管理目標において第1次阻止線と考えられている。IIFは家計負債の国際比較資料を作成する際、毎年韓国銀行の資金循環表上の個人負債を用いているが、今回の第1四半期の数値は韓銀の資料(現在集計中)ではなく、IIFが国内銀行の関連するデータを用いて推定したという。

 しかし今年第1四半期の韓国の家計負債比率は、調査対象となっている世界の34の国と地域(ユーロ地域は単一統計)の中で最も高い水準だった。韓国に続いて家計負債比率が高いのは香港(92.5%)、タイ(91.8%)、英国(78.1%)、米国(71.8%)、中国(63.7%)、日本(63%)など。負債比率の引き下げ(デレバレッジング)の第1次目標は達成したが、依然として主要国に比べて家計負債のリスクは高いわけだ。韓国銀行のイ・チャンヨン総裁は昨年、「GDPに対する家計負債の比率が80%を超えると経済成長や金融の安定を制約しうるだけに、現在は100%以上となっている比率を漸進的に80%にすることが目標」だと述べている。地政学的要因などによる物価高が続いている中、高金利基調を今度どれだけ維持していくかは細心の政策管理が求められる。

 安定的な総量管理とは別に、家計負債の質が次第に悪化していることも、通貨・金融当局の抱える課題だ。物価高と高金利の影響で返済能力が大きく低下した庶民や自営業者などの延滞率が急上昇しているからだ。金融業界によると、国内の5大都市銀行(KB国民、新韓、ハナ、ウリィ、NH農協)で1カ月以上延滞した個人事業者に対する貸付総額は今年第1四半期の時点で1兆3560億ウォンで、前年(9870億ウォン)から37.4%の大幅増。急に資金が必要になった際によく使われるカードローンや現金サービスなどを提供するカード会社の延滞率は昨年末の時点で1.63%で、前年(1.21%)から0.42ポイント上昇しており、同期間の貯蓄銀行の延滞率も3.41%から6.55%へと2倍近くに跳ね上がっている。「ヘッサルローン15」などの限界借主のための庶民金融商品の延滞率(代位弁済率)も昨年20%を上回るなど、大幅に上昇している。

 西江大学のイ・ユンス教授(経済学)は、「総量管理の観点からは目立たない家計負債の質的悪化は、深刻な社会問題につながりうる」とし、「負債総量を安定的に管理するとともに、限界借主の状況を把握し、彼らが正常な経済生活から離脱しないよう支える細心の政策の組み合わせが必要だ」と述べた。

2024/05/09 14:57
https://japan.hani.co.kr/arti/economy/49964.html

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