「検証された同盟」などない…米国、サムスンとハイニックスの中国半導体工場制裁ちらつかせる

投稿者: | 2025年6月23日

「米国の半導体輸出規制の努力がオランダ・日本・韓国のせいでどれだけ弱まっているのか」

「問題が深刻で、ここにとても集中している」。

 12日に米下院外交小委員会の公聴会で行き来した問答だ。答弁したのは米国の輸出規制政策を主管する米商務省のケスラー次官(産業安全保障担当)だ。

それから1週間後の20日にウォール・ストリート・ジャーナルは「ケスラー次官がサムスン電子、SKハイニックス、TSMCに『中国工場への米国製装備搬入許容を撤回する』と明らかにした」と報道した。

米トランプ政権の対中半導体制裁がサムスン電子とSKハイニックスの中国工場にも影響を及ぼしそうだ。これまで米中先端技術対立の中でも両社は一部最先端を除いた半導体装備を中国のDRAM・NANDメモリー生産工場に入れることができた。米国政府が事前承認した企業に与える「検証されたエンドユーザー(VEU)」の地位を与えられ、包括的許可を受けてきたもの。しかしトランプ政権でこれをなくそうとしているということだ。

◇メモリー供給網は霧の中へ

サムスン電子はNANDメモリーの40%ほど、SKハイニックスはDRAMの40%とNANDの20%ほどを中国で生産している。業界はDRAMとNANDの売り上げを考慮して両社のメモリーのうち中国生産の割合をサムスンは10~15%、SKハイニックスは35%ほどと推定する。

米国は2022年10月に対中半導体装備輸出規制を始めた。18ナノメートル(ナノは10億分の1)以下工程のDRAMや128層以上のNANDのような先端メモリー用装備を中国に持ち込む際に許可を受けろという内容だ。

しかしサムスンとSKの中国の半導体工場には直接的打撃はなかった。韓国企業は1年の規制猶予を受け、猶予期間が終了後にすぐVEUを適用された。実際には極端紫外線(EUV)露光機のような最先端装備以外には特別な手続きなく中国工場に入れることができた。ところがトランプ政権がこれを「中国が先端装備を引き抜く裏口」と考え防ごうとしているということだ。

業界では「世界的なメモリー供給網の不確実性が大きくなる」として懸念する。例えば、SKハイニックスは中国・無錫工場にASMLのEUV露光機を持ち込めないため、この機械での作業が必要な先端DRAMは中国から韓国に運ばれるという。VEUがあってもこうした状況なのに撤回されればメモリー生産過程がさらに複雑になるということだ。サムスン電子とSKハイニックスは米政府からこうした通知を受けたかとの質問に「確認不可」と対応し、内部的には米国情勢に神経を尖らせている。

◇「同盟への手加減」なく各個撃破

ケスラー次官は12日の公聴会で「半導体関連技術で同盟国(オランダ、日本、韓国)の自発的統制が不可能ならば海外直接製品規則(FDPR)の適用を積極的に考慮しなければならない」と話した。

FDPRは米国製の装備と技術が使われていれば他国製品でも米国政府が輸出を規制する強力な制限措置だ。昨年12月に米国が韓国製広帯域メモリー(HBM)の対中輸出を防いで適用したのがまさにFDPRだ。

米商務省は先月、バイデン政権の「AI拡散規則」も廃棄した。人工知能(AI)半導体輸出を米国の「同盟国」「一般国」「敵国」に分けて規制していたのをなくし、各国と個別に交渉するということだ。こうなると米国の同盟国である韓国も対中半導体輸出に対し個別に交渉しなければならず、不確実性が大きくなる。

トランプ政権が対中半導体装備規制を強化すれば、中国の売り上げが30%以上でを占めるラムリサーチなど米国の装備企業も大きな打撃を受ける。業界の一部で「トランプ大統領の中国交渉カードのひとつかもしれない」と考える理由だ。成均館(ソンギュングァン)大学化工学部のクォン・ソクチュン教授は「世界の半導体供給網のデカップリング(脱同調化)が現実化される状況をニューノーマルと仮定して対策を用意しなければならない。秩序正しい撤収を含んだ戦略が必要だ」と分析した。

2025/06/23 09:17
https://japanese.joins.com/JArticle/335335

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