【時視各角】韓米関税交渉、日本より有利に終えられるのか

投稿者: | 2025年7月28日

運命の1週間が始まった。トランプ政権2期目が提示した相互関税猶予期限(8月1日)が迫り、韓米間で終盤の駆け引きが行われている。交渉を終えることができなければ、韓国産製品には従来の品目別関税とは別に25%の高率関税が一括的に課されるため、輸出の急減と経済への衝撃波が憂慮される。デッドラインを控えた韓米両国の表情は両極端だ。発足から1カ月が経過した李在明(イ・ジェミョン)政府は危機感を抱いている。魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安全保障室長は訪米中にルビオ国務長官に会えずに帰国し、具潤哲(ク・ユンチョル)経済副首相は米国行き飛行機に搭乗する直前にベッセント米財務長官の会談延期通知を聞いて引き返した。同盟国の公職者が屈辱を感じるほど無礼な心理戦だ。米国の不満を感知した大統領室は25日、緊急通商会議を開いて「交渉品目に農産物も含まれている」とし、農産物開放拡大の可能性に初めて言及した。

半面、トランプ大統領は天下泰平という雰囲気だ。先週末、母の故郷スコットランドに行き、自身が所有するトランプターンベリーゴルフクラブで次男エリック氏の一行とのんびりとゴルフを楽しんだ。29日に米国に戻るトランプ大統領はその間、韓国・EU・インドなどに向けて関税の合意がなければ8月1日から高い相互関税を支払わせると圧力を加えてきた。

 米国が主導権を握る状況で韓国は時間が経過するほど選択肢が狭まる局面だ。特に日本が22日の参議院選挙直後、米日交渉を妥結したことで、韓国の負担が大きくなった。日本は対米輸出品に対する相互関税率を従来の25%から15%に引き下げる代わりに、米国産のコメと自動車に対する市場開放を拡大し、5500億ドル(約80兆円)規模の対米投資を約束した。アラスカ液化天然ガス(LNG)開発事業にも参加する。

韓国が参考にする一種の基準ライン(15%)を日本が先に提示した姿だ。実際、民主党の文振碩(ムン・ジンソク)議員は「日本より有利な交渉を引き出すことが我々には最高」と話した。それだけに李在明政権は日本より有利に交渉を終えなければいけない負担が生じた。今回の韓米交渉は相互関税率を最大限に低める代わりにトランプ大統領が満足するものを譲歩しなければいけない構図であり、いくらうまくやっても国内で拍手を受けるのが容易でない。

それでも知恵と勇気が必要だ。交渉力は基本であり、さらに重要なのは政治的勇気だ。すでに交渉を妥結した英国・インドネシア・ベトナム・フィリピン・日本の5カ国は例外なく農畜産市場を米国に開放した。特に隣国の日本は敏感品目のコメを譲歩したが、李在明政権は支持基盤の全羅南北道の農民が強く反発するコメをどこまで譲歩することができるか。

牛肉はどうか。2008年、左派陣営はBSE(牛海綿状脳症)怪談を流布し、30カ月超の米国産牛肉の輸入に激しく反対した。ところがトランプ大統領は「(世界2位の牛肉輸出国)オーストラリアが米国産牛肉を受け入れることで合意した。我々の立派な牛肉を拒否する他国も(開放)要求を受けている状況」と自慢した。コメは米民主党の支持基盤であるカリフォルニアが主産地だが、牛肉は米国全域で生産されるためトランプ大統領の牛肉圧力はより一層強いという見方もある。

趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官が今週、米国に渡ってルビオ国務長官と会う予定だ。関税交渉期限の前日の31日には韓米財務長官の談判が予定されている。崖っぷちに追い込まれた交渉チームに一つ注文したい。国内の政治的計算を前に出して大きな国益を失う「「小貪大失」を警戒しなければいけないという点だ。敏感なことでも避けられないのなら、全体の国益に有利な方向で交渉しなければいけない。国民の前で詳細に説明し、落ち着いて説得し、具体的な被害補完対策を提示し、率直に了解を得なければいけない。光復(解放)80周年を迎え、日本より有利な交渉で親日・反日コンプレックスから抜け出し、国益中心の真の実用主義外交能力を見せることを望む。

チャン・セジョン/論説委員

2025/07/28 09:52
https://japanese.joins.com/JArticle/336799

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