先月末、関税交渉妥結で「足元の火」を消した李在明(イ・ジェミョン)政権が今月、韓米首脳会談を機に70余年間続いてきた同盟の「再調整」に乗り出す。この過程で在韓米軍の削減と「戦略的柔軟性」の拡大はもちろん、戦時作戦統制権(戦作権)の移管など同盟の長年の懸案において「画期的な変化」が起きる可能性が高い。関税交渉の失敗は経済を困難に陥れるだけだが、同盟をめぐる問題への対応を間違えると、韓国共同体の存立そのものが危うくなる。韓国政府は同盟の再調整めぐる議論を自強の機会に活用できるよう、堂々と交渉に臨む一方、韓国が米中対決の前面に引きずり出されることがないよう、安全装置作りに最善を尽くさなければならない。
チョ・ヒョン外交部長官は3日(現地時間)、米ワシントン・ポスト紙とのインタビューで、大きな関心が集まっている在韓米軍の未来に関する質問に対し、「在韓米軍に対する懸念はない。我々は在韓米軍が今のように残っており、彼らが(これから)果たす役割も今日と変わらないだろう」と述べた。しかし政府高官は先月31日、ワシントン特派員との会談で、「在韓米軍の役割と性格は(中国の戦略的役割の拡大など)様々な要因のため、変化があるだろう。同盟が完全に意見の一致を見ることは難しい」と語った。今後、韓米の間にかなりの意見対立も予想される厳しい状況にあることをうかがわせる発言といえる。
韓米同盟の再調整に対する米国の立場は、自分たちは「中国牽制」など戦略目標に集中する一方、「北朝鮮の脅威」など地域の問題については韓国が軍事的役割を増やさなければならないということだ。結局、米国の強い要求で在韓米軍の役割が「韓国防御」から台湾有事への対応など、「対中牽制」へと拡大せざるを得なくなった状況だ。韓米協議を通じてこのような決定が下されれば、在韓米軍の規模や構成などにも大きな変化が起きるとみられる。米国の負担を減らさなければならないため、できるだけ早く戦作権の移管手続きを完了すべきという要求が本格化する可能性もある。
同盟の再調整をめぐる議論で最も懸念すべき問題は、在韓米軍基地が対中攻撃のための「発進基地」として活用される可能性があるという点だ。ややもすると、中国の報復攻撃で米中の軋轢が韓中間の戦争へと拡大する恐れがある。このような事態を防ぐため、日本は1960年1月、米軍・装備配置の重要な変更と日本を発進基地とする戦闘作戦行動などについて、米日の「事前協議」を義務付けた。基地の提供は難しく、危険を伴うことだ。政府はその点を肝に銘じなければならない。
2025/08/04 20:19
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