「私たちは磁石のようにくっついています」。ハリウッドスターのエリザベス・テイラーとリチャード・バートンは1975年、二人にとって2度目となる結婚の際にこのように語った。一度は離婚したけれど、とても離れて暮らすことはできなかったという意味だ。しかし、この世紀の再婚も1年続かず破綻し、その時はこう言葉を変えた。「折れた羽をずっと着けていることはできない」
生涯、一人の人だけを愛するというのは可能なのだろうか。世界文学賞を受賞したパク・ヒョンウクの長編小説『妻が結婚した』は、一夫一妻制に対する大胆な挑戦だ。主人公は女性。プロサッカーの熱狂的なファンであるイナは、FCバルセロナとレアル・マドリードを両方応援できるのと同じように、同時に2人の男を愛してはいけないのかと問いかける。イナにとって愛とは独占することではない。イナは夫を愛しているが、新たに知り合った別の男も好きになったと言って、離婚せずにもう一人の男とも結婚したいと言い出す。もちろん夫は、正気なのかと猛反発する。
そんなことは許されない、と言う人の方が多いだろう。若い世代でもそうだ。Z世代(1990年代半ば-2010年代前半に生まれた世代)に人気のあるWeb小説のジャンル「後悔モノ」は、かつて人気を集めた韓国ドラマ『糟糠(そうこう)の妻クラブ』の公式通りの展開になっている。別の女性を愛してしまった夫が、妻を苦しめ、最終的に離婚することに成功する。そして、時がたつにつれ後悔が始まる。新たな愛も有効期間は長くなかったというわけだ。糟糠の妻がどんなに大切な存在だったか後になって悟っても、すでに手遅れだ、というのだ。結局は「旧官(前任者)の方が名官だ(慣れたものの方がいい)」ということになるのだ。
日本で新たに就任した高市早苗首相が、同じ男性と2回結婚したことが話題になっている。衆議院議員(当時)の山本拓氏と2004年に結婚して17年に離婚、そして21年に再び結婚した。離婚の理由は、当時の安倍首相を支持していた強硬派の妻と、石破茂前首相寄りだった穏健派の夫の政治的見解の違いだとされていたが、よりを戻した理由については日本メディアでもはっきりと報じられていないようだ。私生活では失望したことがない、という話だけが出ている。再婚から4年たった今年初め、夫が脳梗塞で倒れた。妻は首相就任の直前まで夫の入浴を介助するなど自ら介護をしていたという。
当たり前だが、結婚と離婚には何万通りもの理由がある。同じ人との再婚にも、本人たちなりの理由があるはずだ。子どもの養育のためもあるだろうし、親しみや安定という理由もあるだろう。離婚の原因となった経済問題や嫁姑問題が解決すれば、状況が一変する可能性もある。何はともあれ、巡り巡って再び出会ったのなら、その縁は運命なのかもしれない。最初の結婚が失敗した理由もはっきりと分かっているのだから。磁石でも、折れた羽でも、結局は夫婦の選択なのだ。
魚秀雄(オ・スウン)論説委員
2025/10/25 10:40
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