韓国20-30代が『鬼滅の刃』に熱狂する理由【寄稿】

投稿者: | 2025年11月30日

 日本のアニメーション映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が、韓国で今年公開された全ての映画の中で興行成績1位になった。同作は11月22日、通算観客動員数563万8000人を突破し、韓国映画『ゾンビになってしまった私の娘』を抜いてトップに立った。韓国でアニメ映画が年間興行成績1位になるのは初めてのことだ。

 「鬼滅の刃」は、大正時代の日本を舞台に少年剣士(剣士=韓国語でコムサ)たちの戦いを描いたストーリーだ。主人公の炭治郎は、人間を食べる鬼に家族を奪われ、生き残った妹も鬼になってしまう。妹を人間に戻すために、炭治郎は鬼を狩る組織「鬼殺隊」に入り、奮闘する。主人公が仲間たちと共に成長しながら巨大な悪に立ち向かうというストーリーは、日本の少年漫画の典型だ。

 この作品の魅力に挙げられるのが、深みのあるキャラクターだ。登場する鬼たちは人間を食らう悪党ではあるが、それぞれがエピソードを抱えている。人間だった時代に味わった貧困や差別、家族を失った無念の思いは、鬼になってからの悪行の動機として作用する。加害者に生まれ変わった被害者のストーリーは、韓国のサスペンスやホラーでよく扱われる「恨(ハン=晴らせない無念の思い)」という感情とも似たものがある。主人公は鬼たちの気の毒な過去をふびんに思うが、審判を遅らせることはない。鬼たちが人間を食らったという事実は変わらないからだ。「悪行と断罪」は鬼滅の刃の根幹を成す重要なテーマなのだ。

 主なファン層は20-30代だ。なぜ、20-30代は日本の剣士のストーリーに熱狂するのか。人は漫画や小説、映画といった仮想のストーリーを通じて、現実の中では充足されない欲求を満たそうとする傾向がある。勧善懲悪という言葉に圧縮される鬼滅の刃の教訓は、こうした点を鋭く突いている。罪を犯せば必ずその代償を支払うことになるというシンプルなメッセージは、今の時代を生きる若者たちに、日常では味わえないカタルシスを与えてくれる。罪を犯しても処罰されず、いいことをすればバカにされる時代だからだ。

2025/11/30 09:00
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/11/27/2025112780142.html

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