ついに米国政府が通商法301条カードを取り出した。米国の貿易を制限する外国政府の不合理で差別的な行為や政策、慣行が確認されれば、報復関税などの措置を取るという脅しだ。米通商代表部(USTR)が韓国・日本・欧州連合(EU)など多くの同盟国まで調査対象に含めたのには狙いがある。
USTRが今後、デジタルサービス取引分野にも目を向けるという文言に答えがある。米ビッグテックプラットホーム企業に対して多くの責任を要求する規制を問題視するということだ。米国は韓国のオンラインプラットホーム法やネット使用料賦課、EUのデジタルサービス法を非関税障壁に挙げてきた。
「米国の利益」を主張するトランプ政権は先端技術企業とこれまでになく強く同調している。エヌビディアは特定チップの中国売上高の一部を米政府に手数料として納めることにし、インテルも米政府を株主として受け入れた。7500万ドル(約120億円)を投じてメラニア大統領夫人に関するドキュメンタリー映画を製作したアマゾンのように、国益でなくトランプ一家の私益に忠誠を尽くす企業もある。
その代わり米国政府はこれら企業がAI技術開発に必要なデータを確保したり商業活動をしたりするうえで妨げとなる障害物を取り除く。先月、米国務省は世界各地の大使に「各国のデータ主権、データ現地化規制の動きに積極的に対応するべき」と指示したという(ロイター報道)。欧州のデジタルサービス法をめぐっては表現の自由を害すると非難している。しかし米国企業の生成AIサービスが児童性的搾取イメージを作り出す問題には徹底的に背を向けている。米国は「文化戦争」として包装しようとするが、実情は米ビッグテックの利益を守ろうとするものだ。
クーパンも「米国政府が保護すべき米国企業」として認められようとしてきた。トランプ大統領や米議会に出す寄付金、トランプ人脈の確保を越え、最近の動きはさらに果敢になっている。クーパンの管理問題で生じた顧客情報流出事件だが、クーパンはこれを韓米間の通商問題に巧妙に飛び火させた。韓国の国会で誠意を見せなかったクーパンの米国人代表は、米下院に自ら出席して立場を訴え、クーパン本社の投資会社はUSTRに通商法301条カードを韓国に出してほしいと請願した。しかし彼らはクーパン物流労働者の死亡事故や、韓国の直前政権が以前になかった条項まで設けてクーパン創業者を公正取引法上総帥指定規制から除外した特別待遇については口を閉じている。
問題は今後クーパンのような事例がさらに増える可能性がある点だ。ソウル市立大ロースクールのイ・ジュヒョン教授(国際通商法)は「トランプ政権がデジタル規制のように『非関税障壁』を問題視するという点を利用して利益を得ようとする米国技術企業が増えるだろう」と診断する。特にAI産業の競争規則を米国企業が主導するために韓国のデータ主権に圧力を加えることが繰り返されるおそれがある。韓国はこの圧力を乗り越えられるだろうか。最近、韓国政府は米国との関税交渉を考慮し、19年間延ばしてきたグーグルの精密地図海外搬出要請を許可した。
また、AI産業で付加価値が大きい民間のデータが海外企業に流れている。産業界によると、鉄鋼・造船など韓国の核心製造業現場にAIやロボットを投入して訓練させる米国企業が少なくない。製造業が崩れた米国ではデータを確保できないため韓国企業と手を握ることを望んでいる。
生産性の向上が急がれる韓国企業としては合理的な選択だが、韓国の経済安全保障の面では問題がある。韓国が蓄積した製造業のノウハウで米国のAIロボットの頭脳と筋肉を訓練させるからだ。今はもう、クーパンを叩こうとして米国側の一言に驚くレベルから抜け出さなければいけない。精巧な戦略で新しい貿易戦争に備える時だ。
パク・スリョン/コンテンツ3副局長兼企業研究部長
2026/03/13 14:23
https://japanese.joins.com/JArticle/346129