尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と中国の李強首相、日本の岸田文雄首相は27日、第9回3カ国首脳会議「共同宣言」で、「われわれは域内の平和と安定、朝鮮半島の非核化、拉致問題に対する立場をそれぞれ再強調した」と述べた。「それぞれ再強調」という表現は、「朝鮮半島の非核化」が共同の目標であることに合意できなかったという意味だ。これは2019年12月24日、中国成都で開かれた第8回3カ国首脳会議の文書に「朝鮮半島の完全な非核化に向けた努力」を明示したことに比べると、明らかな後退だ。なぜ、誰のせいでこんなことが起きたのだろうか。「朝鮮半島の非核化」という目標は失われたのだろうか。
■ 誰も「朝鮮半島の非核化」を語らなかった
27日の共同記者会見で、尹大統領と岸田首相は「北朝鮮の非核化」と発言した一方、李首相は「朝鮮半島問題」と述べた。3カ国の首脳はいずれも記者会見で「朝鮮半島の非核化」という表現を使わなかった。「核問題」と関連した決定的な場面だ。
韓日首脳が言及した「北朝鮮の非核化」は国際的に合意された概念ではない。北朝鮮を含む関連諸国の合意文書である6カ国協議の9・19共同声明(2005年)、南北首脳の4・27板門店宣言(2018年)と朝米首脳の6・12共同声明(2018年)には「朝鮮半島の(完全な)非核化」が共同の目標として明示されている。国連安全保障理事会の対北朝鮮決議にも「朝鮮半島の検証可能な非核化」が明示されている。「北朝鮮さえ非核化すれば問題は解決する」という形の北朝鮮非核化論は、こうした国際合意から離脱した一方主義という点で退行と言える。
李首相が述べた「朝鮮半島問題の政治的解決」とは、北朝鮮の核問題を含む朝鮮半島の非核化とともに、朝米敵対など北東アジアの「冷戦の遺産」の解消を目指す戦略だ。中国政府の公式方針であり、朝鮮半島の非核化とともに朝米、朝日関係の正常化、「平和体制交渉」などを明示した9・19共同声明など国際合意と軌を一にしている。ただし、中国側が以前とは違って「朝鮮半島の非核化」という表現を避け、曖昧な戦略を駆使する現実は問題と言える。
■ 北朝鮮はなぜ反発するのか
このような事情にもかかわらず、北朝鮮は27日夕方、「誰でも非核化を説教するなら、乱暴な内政干渉とみなす」という外務省報道官談話を発表し、3カ国首脳宣言に強く反発した。韓国政府当局者は28日、「中国に対する不満を遠回しに表出したもの」だと解釈した。
「中国は北朝鮮の味方」という世間の固定観念とは違い、核問題に関する朝中の見解は全く異なる。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、「絶対核を放棄できない」とし、「核保有国として核兵器の発展を高度化する」という内容を憲法第58条に新設したのに対し、中国は「交渉再開と政治的解決」を呪文のように唱えている。例えば、中国の習近平国家主席は16日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と発表した共同声明で、「朝鮮半島の緊張を高める米国の動きに反対」とともに「北朝鮮と関連国の交渉再開」を求めた。李首相が3カ国首脳会議で繰り返し強調した「関係諸国の自制の維持」の実質的な内容だが、金委員長はこれを「中国の二重行動」と見なしているわけだ。
■ 希望の火種を蘇らせるためには
「朝鮮半島の非核化」を共同目標に再設定するには、尹大統領の態度と戦略の変化が急がれる。元政府高官は「3カ国首脳が朝鮮半島と北東アジアの平和と安定、繁栄が共同の利益であり責任であることを再確認し、朝鮮半島問題の政治的解決に向けて引き続き努力すると約束したのは成果」だとしながらも、「共同記者会見で記者の質問を受けられないほど共通の基盤が弱いことを忘れてはならない」と語った。別の元高官は「尹大統領が一方主義から抜け出し、『北朝鮮の非核化』ではなく『朝鮮半島の非核化』を含む北東アジア冷戦構造の解体という包括的解決策を示した従来の国際合意の精神に忠実でなければならない」と話した。
2024/05/28 20:43
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