米国とイランの2回目の終戦交渉に向けた水面下の話し合いが真っ最中の中、米国の制裁によって海外にそのままになっているイラン凍結資金解除の是非が主要争点に浮上している。イランはこの資金に対する制裁解除を「交渉の前提条件」として強く要求しているが、米国は交渉力を高めるレバレッジ(てこ)として活用しており、交渉進展を阻む障害となっている。
最大の関心事は海外に凍結されたイラン資金の正確な規模だが、実体がまともに明かされたことはない。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は15日(現地時間)、「知る者は誰もいない」と報じた。大部分はイランが原油やエネルギーを輸出した代価で、少なくとも数十億ドルから、多ければ1000億ドル(約16兆円)をはるかに超えるとの観測が出ている。
◇「正確な凍結資金の規模、誰も知らない」
現在まで把握されたイラン凍結資金は、世界各地に分散している。中東の湾岸国家カタールには、イランの資金約60億ドル(約8兆8000億円)が凍結されている。この資金はもともと韓国が石油・ガス輸入代金としてイランに支払うはずだったもので、ウリィ銀行とIBK企業銀行に分散して預け入れられていたが、ドナルド・トランプ大統領1期当時の2018年、米国がイランとの核合意(JCPOA・包括的共同作業計画)を破棄した後、イラン制裁に入ったことで凍結された。
その後、2023年9月にイランに拘束された米国人を釈放する条件で、60億ドルがカタール商業銀行QNBのイラン中央銀行口座に移管された。しかし、同年10月にパレスチナ内の親イラン武装勢力ハマスによるイスラエル攻撃が発生した後、米国がカタールとその資金のアクセス制限に合意したため、現在まで凍結状態にある。
オマーンには約10億ドル(約1兆4700億円)の資金が凍結されたままで、イラクには電力販売代金として積み上がった100億ドル(2023年基準)の債権を保有している。この資金は現在、150億ドルに膨らんでいると推定される。このほかにも、トルコや一部の湾岸国家、ルクセンブルクの金融機関などにあるイラン資金も、制裁や法的紛争によりアクセスが制限されている状況だ。
◇「中国に数百億ドルあるとも」
最も規模が大きいと推定される資金は中国にある。数百億ドルに達するというのが定説だ。イランはトランプ大統領が2018年に既存のJCPOAを破棄し、広範な制裁を科した後も、引き続き中国に石油を輸出してきた。イランの石油輸出量の約90%が中国に向かう。この過程で発生したイランの石油輸出代金は、複雑な金融経路を経て一部は中国内での物品購入に使用され、残りの一部が中国に残っているという。
米財務省の制裁担当高官出身で、現在は保守系シンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」の上級顧問を務めるミアド・マレキ氏は、「イランは米国の制裁により、海外に1000億ドルを超える資金が凍結されているとみられる」とし、「大部分は中国にあり、イラク・韓国・日本・インド・ルクセンブルクなどに分散している」とWSJに語った。
こうした凍結資金は、崩壊寸前の経済を立て直そうとするイランにとっての生命線となり得る。イランが最近、終戦交渉を控えて米国に逆提案の形で送った10項目の交渉案に「すべての制裁解除」を盛り込んだのも、こうした背景からだ。対して米国は、イランの要求に容易に応じるのは難しいという立場だ。トランプ政府内の強硬派は、イランの凍結資金が解除された場合、ミサイル開発や中東地域のテロ団体への支援資金に転用される可能性を懸念し、強く反対している。
◇WSJ「米・イラン交渉の難題の一つ」
WSJは「米国とイラン間の交渉でこじれた問題の一つが、イランが凍結資金へのアクセスを要求している点だ」とし、「イランはこれを交渉の前提条件として掲げたが、これは受け入れられなかった」と指摘した。イランが凍結資金へのアクセス許可を単に要求するレベルを超え、交渉に入るための大前提として釘を刺しているが、米国がこれを拒否して衝突している状況だという意味だ。
これに先立ち11日、米国とイランの対面による終戦会談直前に、海外に凍結されたイラン資産を解除することで米国が合意したというロイター通信など一部の外信報道があったが、米ホワイトハウスは報道直後、「事実ではない」と否定していた。タスニム通信やファルス通信などイランメディアも自国筋を引用して凍結資産の解除に合意したと伝えたが、ホワイトハウスは事実無根だとした。
2026/04/16 15:19
https://japanese.joins.com/JArticle/347759