(1に続く)
■開発途上国への衝撃
一方、輸出を通じた産業化を目指している開発途上国にも、チャイナ・ショックが押し寄せている。通常、経済成長によって国民所得が高まり、経済構造が高度化すると、かつて労働集約型産業の発展を基盤に成長した国は、資本あるいは技術集約型産業へと移行していく。ところが、中国はそのような発展過程において例外を示している。中国は2025年に1人当たりGDPが約1万4千ドルに達し、中進国レベルになったにもかかわらず、驚くべきことに低熟練労働集約型産業(low-end)の世界輸出市場においても依然として支配的な地位を占めている。
ジョンズ・ホプキンズ大学のショウミトロ・チャタジーチャッタージー氏ととピーターソン国際経済研究所のアルビンド・スブラマニアン氏の研究によると、中国は急速な工業化や賃金上昇、生産可能人口の割合の低下にもかかわらず、主要30カ国の低価格製造業輸出市場において、付加価値ベースのシェアが1995年以降、むしろ急速に高まった。衣料や繊維、皮革、靴などの産業において、中国の輸出シェアが1995年の約27%から2022年には約65%まで上昇したのだ。著者らは、圧倒的な競争力を持つ中国との競争において、他の開発途上国が後れを取り続けているこの現象を「チャイナ・スクイーズ」(China Squeeze)と呼んでいる。
特に東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国が中国の影響を大きく受けている。ASEAN諸国は2021年以降、中国からの輸入が大幅に増加し、商品収支の赤字が急速に拡大した。最近、中国の輸出における米国の比重が低下した分、ASEANの比重が大幅に上昇したのだ。実際、インドネシアの衣料・繊維産業は大きな悪影響を受け、2022年から2025年にかけて60の工場が閉鎖され、インドネシア政府は中国の電子商取引プラットフォームを規制する計画まで発表した。また、東南アジアでは電気自動車(EV)やバッテリー、太陽光パネルのような完成品や中間財についても、中国からの輸入が大幅に増加している。
技術水準の低い労働集約型産業さえも中国が支配しているのは、膨大な人口を抱える中国において、都市と農村の間で発展段階が異なり、地域ごとに所得水準の差が大きいという現実と関連している。実際、上海や北京など中国の4大都市の一人当たりGDPは日本より高いが、最も貧しい4つの省の所得はベトナムとほぼ同じで、これらの人口だけでも1億4000万人に達する。さらに、最近中国政府は、伝統的な労働集約型産業も引き続き維持・発展させていくと発表した。2023年、習近平国家主席はこうした「ローエンド産業」も放棄してはならないと強調したが、これは先端産業の革新を推進しつつも、労働集約型産業も維持し続けるという意味だ。特にこうした産業において、賃金上昇圧力に対応するための手段こそが、ロボットと自動化だ。政府の強力な支援に支えられ、ロボット産業が急速に発展する中、汎用性を備えたヒューマノイドロボット産業を主導するユニツリー・ロボティックスのヒューマノイドロボットの価格も急速に下落してきた。
結局、日本のような先進国が先に成長し、韓国のような低コスト国がその後に続く「雁行型(flying geese)」経済発展モデルは、今や中国による世界製造業の支配によって機能しなくなっているのだ。これは、現在、発展途上国にとって、かつての東アジアのような輸出主導型産業化の成功がますます不可能になりつつあることを意味する。実際、発展途上国の中で、電子製品のベトナムや衣料産業のバングラデシュ程度を除けば、製造業の輸出市場で成功した例を見つけるのは難しい。これに対し、ハーバード大学のダニ・ロドリック教授は、発展途上国で多くの雇用を創出できるサービス業中心の新たな経済発展戦略を示している。しかし、生産性の向上と成長に大きな波及効果をもたらす製造業の発展と輸出拡大なしに、発展途上国が成長と追撃に成功できるかどうかは疑問視されている。実際、パンデミック後の2020年代に入り、多くの発展途上国の成長率は以前と比べて全体的に低下している。
■中国にどう対応すべきか
現在、中国政府はロボット技術と自動化を基盤に労働集約型製造業を発展させ続け、補助金や国家産業投資基金などの政府支援のもと、国有企業を中心に石油化学、機械、鉄鋼などの資本集約型製造業も育成している。同時に、EV、バッテリー、太陽光、高速鉄道、ヒューマノイドなどの新産業分野では、産業政策を基盤に初期のエコシステムと大規模な市場を造成して規模の経済を実現し、生産を拡大することでサプライチェーンを掌握するよう誘導している。中国は文字通り、あらゆる製造業分野を手中に収めようとする強力な意志を示しているのだ。
こうした中国の変化は、韓国にも大きな衝撃を与えている。韓国経済は1997年の通貨危機を経て、2000年代以降は「世界の工場」となった中国に対し、中間財や資本財の輸出を増やし、成長を続けてきた。ところが、最近では、中国国内産業の発展により、こうした輸出が大幅に減少し、貿易収支の黒字も急速に縮小し、新たなチャイナ・ショックに直面している。特に新産業分野のうち、中国企業がリーダー格として台頭した部門では、かつて先進国企業を急速に追い上げてきた韓国企業の成長方式が、もはや有効でなくなりつつある。製造業の技術競争力を見ても、半導体などの先端産業を除けば、大部分の韓国産業がすでに中国に後れを取っているのが現実だ。韓国は今後、戦略産業育成のための積極的な産業政策と効果的な公共投資の側面で、中国の経験から教訓を得るべきだろう。それと同時に、国有企業に代表される不公正な競争や市場の歪みに基づく、グローバルサプライチェーン内における中国企業の独占問題については、他国と連携し、多国間通商体制の中で問題を提起する必要がある。
チャタージー氏(ジョンズ・ホプキンズ大学)とスブラマニアン氏(ピーターソン国際経済研究所)も、中国が国際社会で指導的な地位を占める真の覇権国となるためには、単に世界市場を支配するだけでなく、貧しい国々の発展のために努力することが重要だと強調している。中国が真のグローバルリーダーとなるためには、発展途上国に製造業の場を開放し、内需と輸入を拡大する必要があるという意味だ。もちろん、中国は、国際社会の圧力にもかかわらず、容易には変わらないだろう。しかし、バランスの取れた世界経済と共同繁栄のために必要なのは、中国に対する絶え間ない圧力だ。中国の変化は世界経済の未来に大きく関わる問題であるからだ。
2026/06/09 11:26
https://japan.hani.co.kr/arti/economy/56424.html