【コラム】非常にあいまいな韓中関係

投稿者: | 2024年6月3日

しばらく「韓米は同盟、韓中は同伴者」という言葉が流行していた。ところが最近の状況をみると、同盟は変わらないが、同伴者という言葉はあまり使われない。先日の韓日中3カ国首脳会談を契機に開かれた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と李強中国首相の会談もそうだ。李強首相が同伴者に一度言及しただけで、尹大統領の発言からその表現は探せなかった。韓中関係を象徴するようだった同伴者という言葉はもう歴史の遺物として消えたのだろうか。

同伴者は中国語で同じ釜の飯を食べる「伙伴」をいう。この同伴者が中国外交に本格的に活用され始めたのは冷戦が解体されてからだ。中国は1996年に新しい安保思想を採択したが、その核心は同盟を冷戦時代の古い概念とし、その代わりに世界各国と同伴者関係を構築するということだ。中国によると、同伴者関係には大きく3つの意味がある。

 1つ目、国際舞台で国家間の葛藤を伏せて共同の利益を追求する。これに関連してよく知られている言葉が求同存異だ。2つ目、相手を敵対視しない。3つ目、第3国を狙わないというもので、仮想の敵を設定する同盟とは大きな差がある。同盟が法的拘束力を持つのに対し、同伴者は宣言に近い。中国はこれに基づいて韓中関係を発展させ、1998年の金大中(キム・デジュン)大統領の訪中で両国は初めて協力同伴者関係を結んだ。

その後、韓国の大統領が就任するたびに格が高まり、2003年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領当時には全面的協力同伴者関係に、2008年の李明博(イ・ミョンバク)大統領当時には戦略的協力同伴者関係になった。戦略的という言葉には3つの含意がある。2国間だけでなく地域問題も、経済だけでなく安全保障も、短期だけでなく長期問題も議論するということだ。しかしそこまでだった。

2010年の韓国哨戒艦「天安」爆沈と延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件で中国が見せた残念な態度に、韓国では「これが同伴者関係か」という不満が強まった。結局、朴槿恵(パク・クネ)大統領当時には格を上げる代わりに充実させようという主張が力を得て、2014年の中国の習近平国家主席の訪韓当時、韓中は「成熟した戦略的協力同伴者関係」に合意するにとどまった。にもかかわらず文在寅(ムン・ジェイン)政権当時は同伴者関係という言葉を多く使用したが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に入ってからはほとんど見られない。

現政権は相互尊重と互恵、共同の利益という言葉を使う。中国はこうした韓国の言葉に首をかしげている。同伴者関係を捨てたわけではないが話さない。非常にあいまいだ。これがまさに韓中関係の現住所だ。

ユ・サンチョル/中国研究所長/チャイナラボ代表

2024/06/03 16:15
https://japanese.joins.com/JArticle/319459

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