「謹んで故鉄(壊れたロボット〈=故鉄〉と故人を掛けた表現)のご冥福をお祈りします」。慶尚北道の亀尾市庁で活躍していた「1号ロボット主務官」(主事)が先日、階段から転落して破損すると、ネット上では「ロボットの過労死」という言葉が広まった。亀尾市は昨年8月に行政サービス用のロボットを導入し、公務員証も付けて任命式まで実施した。このロボットは市庁内で郵便物や行政書類の配達などの任務を行っていたが、導入から1年もたたないうちに階段から転落して壊れてしまい、「仕事が大変すぎたようだ」と同情するコメントが相次いだ。
米国シアトルにあるアマゾンの物流倉庫に「採用」されて試験運用中だった二足歩行ロボット「ディジット(Digit)」は、「過労死ロボット」として世界的に一躍有名になった。昨年3月にシカゴで開催された物流博覧会で、20時間連続で働き続けた末にバタリと倒れる動画が拡散されたからだ。ロボットなので充電すればすぐに復活するのだが、それでも「気の毒だ」という同情の声が上がった。「ロボットも疲れれば倒れるのに、人間はどれだけ大変なことか」と大勢の人がロボットに人間の姿を重ね合わせて感情移入したのだ。
2015年に米国のロボット企業「ボストン・ダイナミクス」は四足歩行のロボット「スポット(Spot)」をお披露目し、足で強く押すテスト映像を公開した。ロボット技術をアピールする映像のはずだったが、図らずも「ロボット虐待」の論争が巻き起こった。オーストラリアでは昨年、酒に酔った女性がロボット犬「スタンピー」を蹴る映像が公開された。すると一部のネットユーザーが「スタンピーのための正義」というハッシュタグを付けてその女性に謝罪を求めた。韓国国内でも野党代表がロボット博覧会で四足歩行ロボットをひっくり返し、「ロボット虐待だ」と論議を呼んだ。当時、この野党代表は「(自分を)乱暴な人間に仕立てるためだ」と反発した。
単なるロボットであっても、日本では犬型ロボット「AIBO(アイボ)」の合同葬儀まで行われている。寺で参列者が見守る中、住職がお経まで読み上げる。AIBOは日本のソニーが1999年に発売し、2006年に生産を中止したペットロボットだ。約15万台が販売されたが、修理サポートも打ち切られ、AIBOのオーナーたちは落胆した。孤独な高齢者にとっては家族のような存在だったからだ。その後、ソニー出身のエンジニアが修理会社を立ち上げ、日本全国から故障したAIBOの寄贈を募り、その部品を使って他のアイボを修理している。2015年からは、動かなくなったAIBOを解体する前に葬儀を行うようになった。単なるロボットではなく「AIBO」というペットに依存して孤独に生きてきた人々を慰めるための儀式だ。
最近、主婦たちの間で「うちのお手伝いさん」と呼ばれる存在は、ロボット掃除機、食器洗浄機、そして衣類乾燥機だ。家政婦のようにどんどんこなしてくれるからだ。ロボットも家電製品も驚くほど賢くなり、今や擬人化される存在になったのだ。
姜京希(カン・ギョンヒ)記者
2024/08/24 07:00
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