韓国南海岸の養殖被害拡大…前年に続きまた「最悪の年」になるか

投稿者: | 2024年8月25日

高水温による慶尚南道(キョンサンナムド)南海岸の養殖魚類被害が最悪に突き進んでいる。慶尚南道によると、17日から22日まで統営(トンヨン)、巨済(コジェ)、南海(ナムヘ)、固城(コソン)の262の養殖場で死んだ養殖魚類は1298万5000匹と集計された。「最悪の年」と記録された昨年の1466万匹、被害額207億ウォンを近く超えるだろうという見通しも出ている。これに対し漁民は魚に免疫増強剤を与えるなど被害を防ぐために全力を挙げている。

慶尚南道では2012年に初めて高水温被害が集計されてから、養殖場被害は毎年悪化する様相だ。2017年に343万匹が死に47億ウォンの被害が出たのをはじめ、2018年に686万匹・91億ウォン、2021年に1042万匹・117億ウォンと増加傾向が続く。行政と水産当局は気候変動により水温が上がり高水温被害が続いているとみている。

 現在水温28度以上で「高水温警報」が下された南海岸では29度前後の高水温が8日にわたり続いている。養殖魚類は28度を上回る高水温に長時間さらされると死ぬ。国立水産科学院関係者は「南海側の水温が平年より2~3度以上高い。例年より南海を通過する暖かい海流である対馬暖流の強さも例年より大きく水温に影響を及ぼしている」と説明した。

◇高水温に弱い「国民魚」

南海岸で高水温被害が大きい魚種はクロソイだ。今回慶尚南道で集計された高水温被害魚のうち70%の911万5000匹がクロソイだった。クロソイは28度以上の高水温に弱い。冷たい水が好きで、生息水温は7~26度、適正水温は12~21度だ。限界水温は28度だが、26度を越えると生理機能が落ち死ぬ可能性が高くなる。

こうした状況だが、クロソイは韓国でヒラメに次いで多く養殖される。「国民魚」と呼ばれるほどだ。統計庁の魚類養殖動向調査によると、全国のクロソイの10匹中8匹は南海岸にある慶尚南道と全羅南道(チョンラナムド)の海上養殖場で生産される。昨年基準で全養殖クロソイ1万4418トンのうち慶尚南道産が6959トン、全羅南道産が4600トンで全体の80%に当たる1万1559トンに上った。慶尚南道でも全養殖魚類の半分近い46%占める。

◇酸素発生器稼働し、冷たい水くみ上げ、免疫剤まいても…

自治体と漁民は可能なすべての対策を総動員する。暑い日差しを遮る黒い遮光幕を養殖場に設置し、免疫増強剤を供給する。水温が高まれば溶存酸素が減るため酸素発生器も24時間稼動する。海表層より水温が低い低層海水をくみ上げる低層水供給装置も動かす。

だが高水温被害を防ぐには力不足だ。統営のある養殖漁民は「養殖場の冷蔵庫に死んだ魚があふれている。腐敗臭が立ち込めても被害算定をしなければならないためすぐに処分することもできない」と話す。この漁民は22日だけで死んだクロソイとカワハギなどが入った80~90キログラムのケース数十個を運んだ。

◇遠海に移動…海中を上下する「エレベーター養殖」

南海岸で高水温被害が頻発し、遠海に漁場を移す案も推進されている。陸地と近い養殖場は水深が6~9メートルほどと浅いため高水温に弱いためだ。水深30メートル以上の外海に養殖場を設置し、普段は水深3~5メートルで飼育するが高水温や赤潮などが発生すれば水中深くに沈める方式だ。

統営市は養殖業者1カ所を対象に、災害に備えた重層浮沈式いけすのモデル事業を進めている。重層浮沈式いけすは日本では商用化されているという。韓国では忠清南道泰安(チュンチョンナムド・テアン)で2021年初めて設置した。だが魚類を飼育する網に固定された四角い枠組みがないため垂直移動が難しかったという。統営市は日本式である四角い枠組みを製作して水面から垂直に調節可能な設備を設置すれば効率的に運営が可能だと予想した。

だが高水温被害を防ぐ根本的な対策になるかは未知数だ。多くの費用がかかるからだ。統営で進めるこの事業費は10億ウォンで、国・道・市が80%を負担するが、漁民の負担は20%の2億ウォンに上る。慶尚南道魚類養殖協会のイ・ヨンス会長は「費用も多くかかり対象事業地である慾知島(ヨクチド)付近の水温も高い方のため実用性があるか疑問。政府レベルで代替魚種開発が急がれる」とした。

◇味も良くて育てやすいクロソイ…代替種探すの難しい

だがクロソイに代わるほどの魚種を探すのは容易でない。クロソイはぷりっとした身とこくがあり消費者が好む刺し身の材料だ。また、蒸し物、焼き物、鍋にも愛用される。

その上クロソイは育てやすく利益が大きい魚だ。他の魚類と違い、卵ではなく子どもを産む卵胎生の魚種で稚魚の生存率が高い。これまで韓国周辺海域は水温が15~18度の期間が長く漁場環境もクロソイに向いていた。

これに対し韓国国立水産科学院は、亜熱帯魚種であるカンパチ、イサキ、クロメジナなどを研究し代替品種を開発中だと明らかにした。イサキは28度以上の水温でも生存可能だ。脂肪が豊富で夏季の刺し身用としても価値が高いという。

水産科学院関係者は「クロソイの代替可能性を確認するため慶尚南道水産資源研究所と協力し、南海岸の海上いけすで越冬の可能性を調査中。済州(チェジュ)に生息するカンパチやクロメジナなども養殖種として開発するため基礎生理・生態研究を進めている」と話した。

続けて「高水温に耐性を持つクロソイの開発も進行中だが、卵胎生魚種を対象にした育種技術導入は世界的に事例がないだけに長くかかると予想する。代替魚種開発を繰り上げられるよう努力する」と明らかにした。

2024/08/25 13:22
https://japanese.joins.com/JArticle/322853

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