ベルリン少女像はどこへ…区「私有地移転」一方的発表、土地所有団体「合意ない」

投稿者: | 2025年7月10日

 ドイツのベルリンで、平和の少女像が置かれるべき場所をめぐって対立が続いている。少女像が設置されているミッテ区の当局は像を私有地に移すとして移転場所を公開したが、直ちに反発にぶつかっている。その土地を所有する団体、少女像を建てた在ドイツ市民団体「コリア協議会」はいずれも、ミッテ区の決定には同意していないと主張している。

 発端は、ミッテ区が今月8日に報道資料で少女像の移転計画を発表したこと。区の発表は「区との緊密な協議の末、ティアガルテン借家人協同組合(MUT)はコリア協議会に無償で空間を提供することに同意した」、「ミッテ区のシュテファニー・レムリンガー区長はMUTの支援に感謝の意を表しつつ、(少女像)移転に向けた支援を約束した」というもの。今年4月にベルリン行政裁判所が少女像の持つ公共的価値と芸術の自由を認め、9月28日まで現在のミッテ区の公共の土地に置くよう命じているが、ミッテ区が発表したのはその後続対策。

 区が発表した新たな土地はMUTの所有する私有地で、現在少女像がある公共の土地から100メートルあまり離れている。現在の位置は大通り沿いで人目につきやすいが、住宅の端に位置する代替地は外から見えにくい。

 ミッテ区の発表とは異なりMUTは、区がMUTと合意することなく少女像の移転を発表したと主張している。MUTの運営を総括する理事会の理事を務めるクリスチャン・パルマさんは9日(現地時間)のハンギョレの電話取材に対し、「MUTの土地への少女像移転は確定していない」と述べ、区の一方的な発表に遺憾の意を表した。パルマさんは「ミッテ区が報道資料を発表するまで、私たちは何の事前情報も受け取っていなかった。区と最後にコミュニケーションを取ったのも数週間前」だとして、「コリア協議会が少女像移転を望まないなら、私たちは同団体の決定を尊重するという意思を区に伝えてある」とも語った。

 少女像の向かいに位置する住宅の協同組合であるMUTは、2020年9月に像が建てられて以降、日本政府と区が撤去を迫っていたことをよく知っている。少女像の撤去に備えて代替地を提供してもよいという意思をコリア協議会にも伝えている。ミッテ区もMUTに連絡してきて事案を議論したに過ぎず、区と直に代替地への移転を調整したわけではない、というのがMUTの立場だ。パルマさんは「3つの当事者がこの問題で同じ考えを持っているかどうかが重要だが、ミッテ区のやり方は不必要な圧力を加えるもの」だとして、「このようなことが起きて遺憾だ」と述べた。

 コリア協議会は、一般の個人によって管理される私有地への少女像移転には反対するとの立場を、すでに複数回ミッテ区に伝えている。まだ協議が進められている中での区による移転発表も受け入れられない、との立場だ。コリア協議会のハン・ジョンファ代表はこの日、ハンギョレに「少女像は戦時性暴力を象徴するという意味もあるが、数年間にわたる区との闘いの中で、3千人あまりのミッテ区の住民が少女像存置のために署名運動に参加するなど、共に闘ってきた歴史もある」として、「にもかかわらず区は私有地への移転を推進し、歴史に対する国と地域社会の責任を消し去ろうとしている」と話した。

 先の行政裁判所による判断後、ベルリンの緑の党と社民党もコリア協議会の考えに対する同感を表明している。ハン代表は、両党の構成員の主導で少女像の公共地での存続を求める決議がベルリン市議会ですでに2度あがっているとも語った。コリア協議会は、少女像を現在の場所に永久に存置するか、区が近隣の公共の土地を提供することを代案として要求している。

2025/07/10 07:01
https://japan.hani.co.kr/arti/international/53693.html

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